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岸田奈美|NamiKishida
年末のある日とつぜん、部屋の天井が落ちて、上階の汚水が流れこんできたときの限界記録。
比較的多くの方の目に触れてしまったnoteを集めました。
母が心内膜炎で入院、祖母は認知症が悪化、犬は大暴れで……岸田家の危機に、祖父の葬儀、鳩の襲来などが続々と!「もうあかんわ」と嘆きながら毎日更新した2ヶ月の記録。ライツ社から発刊した同名の書籍に収録していないエピソードも。(イラスト:水縞アヤさん)
NHK BSプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作エッセイ・撮影現場レポートのまとめ。ドラマは“岸本七実”が主人公のトゥル〜アナザ〜スト〜リ〜なので、読んでから観ても楽しめること大請け合い!
ぼんそわ〜る! 岸田奈美です。 世の中でなんらかの騒ぎが起きると、宝くじ4等賞が当たるぐらいの確率で、わけのわからん入射角の巻き込まれ方をすることがあります。 これについては、お知らせの最後のこぼれ話にて。 1.Podcast『岸田奈美のおばんそわ』スタート三年ほど続けてる「DM全部読み上げる岸田奈美のスペース」が、このたび進化しました〜〜〜ッ! 『岸田奈美のおばんそわ』Podcast(音声番組)が爆誕! プロなプロデューサーや放送作家のお仲間に入ってきてもらって
わたしはライブ配信とかよくやってるもんで、 「なにをやっても自信が持てなくて、毎日が不安です」 これ! これを相談されること、めっちゃ多いねん!ばく然とした不安たちの寄合所みたいになる時がある! ふむふむ、よくぞ送ってくれやんした。あなたの不安をバシッとたくすために、この岸田奈美が華麗に答えてしんぜ…… わかる〜〜〜〜! 自信とか、持てへんよな。 わたしは以前、大人になったら自己肯定感はどんだけ頑張っても上がらないから、諦めて、自信を増やそうって話をしました。
「もともと家族やないから、家族でおることに努力がいるねん」 どっかの誰かが言っていたのを、思い出した。 夫婦とか義両親とか、もともと家族やなかった人たちが、今日もひとつ屋根の下で家族であろうと、のたうち回りながら頑張ってるんのだ。 初めて脚本を書かせてもらったラジオドラマ『FMシアター 春山家サミット』の現場を見学しながら、わたしは考えていた。 ↓脚本を書いた経緯はこちらから NHKの同年代のディレクターから、 「よかったらリハーサルの現場に来ませんか?」 と誘
「どんな題材でもいいので、ラジオドラマを書いてみませんか?」 突然、メールが届いた。脚本なんて書いたこともない。書ける気もしない。なんかの間違いやろかと聞き直したら、 「大切なのはセリフです。岸田さんが書くセリフには、ニヤッとしたあと、ハッとさせられました。書けますよ!」 あら、そうかしらん。嬉しいわん。 わたしのはエッセイなので、ニヤッ&ハッ砲を撃ったのはわたしではなく、そばにいた家族や知人の手柄のような気もするけど、 恩は書いて返しましょう。 そういうわけで、生
先週、「声」という短編小説をのせました。 これね、実は、一年前に書き終わってたんです。 ウジウジして、ずっと載せられなかったんです。後先考えずにグワーッと走り出してから困り果てる、自業自得界の超新星である、このあっしが。 こわくて。 ずっと、エッセイを書いてきました。家族が大変な目にあったとか、ルンバがハチを食うとか、書くことには困らん日々でした。 でも、ほら、そういうのはね。どんだけおかしな話でも、実話やから笑えるってのが、あるじゃないですか。実話やから応援しても
これが最後の仕事になる。 できることなら、最後になんてしたくない。でもだめだ。日を追うごとに、働き続ける自信が腐り落ちていく。 総合病院の受付の裏側、患者からは見えない事務室がわたしの仕事場だ。デスクの上に積み重なっている手紙を、一枚、そっと手に取る。 ひどい字だ。 差出人の名前もない。 『待合室の金魚の目つきが悪い!通院のたびに動悸がする!』 知らんがな! そう言いたい。もう捨てたい。ああ泣きたい。それでもわたしは、この紙の折り目をていねいに伸ばして、ペンを取ら
家族写真をくださいと言われ、困っちゃう時がある。 記事やポスターを作ってもらう時なんかに、ホイホイ送ってみれば、 「すみません、別の写真はありませんかねえ?」 申し訳なさそうな返信がくることはめずらしくない。 「別の写真ってーと」 「弟さんが笑ってる写真で、どうかひとつ」 やはりか。やはりそうきたか。岸田家の最大とは言わんが、中くらいの難題がここにある。弟が笑っている写真は枯渇している。 岸田家の集合写真に鎮座する弟は、たいがい仏頂面なのだ。 ジャングルの奥地
ごきげんよーコ・チャン! 寝て起きたら、朝と昼の温度差が10℃とかになっちゃってて。とっさにね、小学校の理科を思い出した。恒温動物ってこれ大丈夫なんでしたっけって。命を試されてるんですっけって。 それはそうと、嬉しすぎて、いろんなところで話してるんですけど。 最近、ベランダにテーブルセットを置いたんですよ! ひとり暮らし10年目にして、やっとですよ。引っ越してIKEAに行くたびに、終盤のゾーンを見ながら、疲れ果てた頭でみんな憧れるやつですよ。 パリの街角でテーブルセ
わたしの父は、遊園地が好きじゃなかった。 行列にも、騒音にも、絶叫にも、いちいち腹を立てていた。とりわけ、父の地雷といえば、子どもだまし、だった。 無駄によくできたホラでわたしをだましてはゲラゲラ笑うくせに、自分がだまされることには、めっぽう我慢ならん男なのだ。 新幹線に乗れない弟を喜ばせようと、父は神戸から東京まで夜通しボルボ940を走らせ、ディズニーランドへ連れて行ってくれたことがあった。 好きではなくとも、そういうことは、やってくれる男なのだ。 ところが、到着
ウッキウキで行列に並んでたら、目の前で買い占められ、膝から崩れ落ちそうになったっていう、ようある、ようある話なんよ。 ようある話やのに、まさか自分に起こると思ってなくて、立ち直れないので、書かせてください。読むタイプの人助けだと思ってください。 阪神タイガースのシーズン最終戦で、事件は起きた。 まさか、チケットがとれると思わなくて。 もうね、すべてを楽しみにしてた。甲子園球場で食らうメシすらも、希望にまみれてた。 わたしのお目当ては、 「サトテル(佐藤輝明選手)の
パリに来て、いちばん衝撃を受けたのは、あるパラリンピック選手の話だった。 ドゥミトロ・メルニクさん。ウクライナ軍の現役兵士で、つい10日前まで、激戦地の最前線にいたという。 わたしがドゥミトロさんと会ったわけではない。伝え聞いただけ。それでも、パリで出会った数々の中で、いちばんの衝撃だったのだ。 ドゥミトロさんのことを語ってくれたのは、田中孝幸さん。 『13歳からの地政学』の著者で、日経新聞の記者でもある。オーストリアのウィーンに住みながら、ウクライナの取材を続けてい
2024年10月5日(土) 13:00〜15:00 岸田奈美と、ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』岸本草太役の吉田葵くんと、小倉匡くんが出演するイベントです! SNSなどで感想を投稿してくださる場合の、ハッシュタグは「#かぞくトークイベント」です。 キナリ★マガジン購読者、または、公式ファンクラブ岸田団の会員は、終了後の録画視聴ができます。 視聴方法は、noteにログインして、下記をご覧ください。 後日アーカイブ配信の視聴方法
パリのシャンリゼ通りを歩いていた。 それはもう、踊りながら歩いていた。 念願なので。 全力でオーシャンゼリゼしてたら、雨が振ってきた。 どっかに入って雨宿りしようと思って、キョロキョロしてたら、雨のシャンゼリゼ通りでもひときわ賑わっているお店があった。 『Café Joyeux』 見上げれば、パリの古くて美しい外壁に、なんとも落ち着く黄色の看板。なんだろう。とても目立つけど、やけになつかしい黄色である。 そして、なんといっても、このロゴマーク。 筆舌に尽くしが
こんにちは、岸田奈美です! パリから無事に、帰ってきました! パラリンピックのチケットを直前で強制キャンセルされたり、爆裂にテキトーな案内で指定席がパアになったり、スリに怯えすぎて逃げまどったり、凱 旋門へ行くためにポリスメンが道路を封鎖したり、 いろいろ、ありました。ありすぎたかもしれません。 まだ、2記事ぐらい、書きたいことがあるので、よろしくお付き合いボンヌしてください。 この記事の最後には、こぼれ話もございます。 10月の岸田奈美も、イベントやセールが、ド
ヌルッとテキトーすぎる、パリについて、書いてきましたけども。 パリは、車いすの母と行けるとこと、行けないとこの差が、めっちゃ激しい。 バリアフリーとやらは、あらへんよ。 地下鉄にも、エレベーターはない。一割の駅にはできたらしいけど。一割て!一割て! 築300年、なんたら遺産級の建物がまわりにウジャウジャしてるから、どうにもこうにもファインディング・ニモ的な感じで、工事できないらしい。 地面に謎の車いすマークあったけど、頭がなかった。暗示かな。 パリでの移動は、バス
パリに行くと決まってから、実は、怯えていた。 スリが怖い。 パリと言えばスリ、スリと言えばパリである。 つい最近、フランスに転勤した知人が、げっそりした顔で語ってくれたのも、記憶に新しい。 「一年いただけなのに、15回もスリにあいました……」 あいすぎだろ! スリのバーゲンセールかよ! わたしが前に勤めていた会社の上司も、パリでスられていた。 彼は車いすに乗っているのだが、エッフェル塔を見上げていたら、誰かからケチャップをぶっかけられたという。 たまたま近くに