岸田奈美|NamiKishida
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はじめて岸田奈美のnoteを読む人へ
100文字で済むことを、2000文字で書く。作家の岸田奈美です。
いることも、いらんことも、noteへ息を吐くように残しています。
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わたしについて1991年、神戸市北区生まれ。中学2年生のときに起業家の父が突然死、高校1年生のときに母が心臓病で車いす生活、弟が生まれつきダウン症。認知症で荒ぶる祖母と、よく吠えるかわいい犬の梅吉も一緒に毎日が楽しい。
しげると、すすむと、折れない鶴(前編)
忘れかけていた、というより、忘れたかった記憶がフッと戻ってきた。
弟がまだ幼かったときのことだ。
「プールな、いくねん、プール!」
何時間でも水で遊ぶのが大好きな弟が、週末に出かけるという。
ガイドヘルプという福祉の制度をつかうと、ヘルパーさんが付き添ってくれるのだ。それなら弟につきっきりだった母も、家でゆっくり休める。
それはそれはもう大喜びの弟は、水着とタオルの入ったビニールバッグを
誰もが小さな“自閉”を持って生きてる
ダウン症の弟が、いっそう流暢にしゃべりはじめた。
半年前までは
「あー、ええ、おうですね、あい」
だったのが
「あーあ、また雨や。東京は雪やって。いやんなるわ」
になった。
26歳にして魅せる急激な成長に喜ぶ一方、逃げ出したオウムが知らん言葉を大量に覚えて戻ってきた時の怖さもある。
理由は言わずもがな、春からグループホームで暮らしはじめたからだ。
実家の和室をアジトに、悠々自適をか
岸田奈美と家族の物語が、NHKで連続ドラマになります
えらいこっちゃ。
わたしがnoteで書いてきたエッセイを一冊にまとめた本「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」が。
NHKで、全10回の連続ドラマになります!ワーッ!
えらいこっちゃとしか言えないこの気持ち、Twitterで書きました。
これでもまだ、全然、思いの丈をしゃべくり足りねえです。
ずっとおもしろおかしく見守ってくださったキナリ★マガジンの読者さんには、事情と感
「THE FIRST SLAM DUNK」は一瞬の永遠と慟哭を描く
週刊少年ジャンプの『友情・努力・勝利』だけでは、どうやらどうにもならないことがあると知ったのは、大人になってからだ。
苦境から一歩を進むために、わたしがひとつ足すとすれば『時間』である。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』に、緻密な『時間』の物語をみた。
原作・脚本・監督の井上雄彦さんは『時間』を表現する境地にたどりついた漫画家だ。人間の本質を描こうとするほど『時間』の表現が自然