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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

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NHK BSプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作エッセイ・撮影現場レポートのまとめ。ドラマは“岸本七実”が主人公のトゥル〜アナザ〜スト〜リ…
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絶対に、だいじょうぶの巻(ドラマ見学最終日)

絶対に、だいじょうぶの巻(ドラマ見学最終日)

「だいじょうぶ」って言葉は、不思議だ。

大好物のウインナーが品切れだったときに弟がボソッとこぼす「だいじょうぶ、だいじょうぶ」は、「しゃあない」っていう意味で。

三者面談でさんざんな通知表を見せながら先生が放った「だいじょうぶでしょう」は、「どこでもええから進路をはよ書け」っていう意味で。

この世に生まれるありとあらゆる「だいじょうぶ」は、言った人にしか、言われた人にしか、訳せない。

そし

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君こそスターだ!の巻(ドラマ見学7日目)

君こそスターだ!の巻(ドラマ見学7日目)

「今週末、沖縄でロケがあるんですよ」

プロデューサーから聞かされたとき、わたしは小学館の会議室で取材を受けているところだった。

「へえー、沖縄で!」

「みんなのスケジュールがさすがに合わないかと思ってたんですが、やっぱり行こうということに」

「それはそれは」

カメラのレンズ交換を、待っている間。

スッ。

スマホを取り出した。

「行きたかったなあ」

ちょうど新刊の告知で、一日に取材

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耕助パパと愛しのボルちゃんの巻(ドラマ見学6日目)

耕助パパと愛しのボルちゃんの巻(ドラマ見学6日目)

とても、かなり、すごく、忘れっぽい。
わたしというやつは。

小学生のときは、忘れ物をしない日のほうがめずらしかったのではないか。絵筆やトイレットペーパーの芯やらをボンボン忘れ、図工の怖くて嫌味なオバチャン先生にいつも怒られ、泣いていた。

「絵筆持ってへんような子は、なにしに学校来たんかしらね。あー、なるほど、先生がバカやから見えへんだけやね。バカには見えへん筆ってね。ほな、続けましょ」

こっ

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大いなる愉快な第一歩の巻(ドラマ見学5日目)

大いなる愉快な第一歩の巻(ドラマ見学5日目)

ダウン症の役者さんの撮影がはじまるとき、プロデューサーが「ライブ感のある現場ですよ」と、意味深なことを言っていた。

その深い深い意味が、やっとわかった。

岸本家が車で出かけるシーンの撮影前。

ここはミニ草太を演じる小倉匡くんの見せ場だ。

あまりの愛くるしさに、心臓をワシッと掴まれていたら、

「……あれっ?」

ピタッと凍りつく、匡くん。

靴を履き替えなければいけないのだが、足があがらな

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家には人生が染み込んでいくの巻(ドラマ見学4日目)

家には人生が染み込んでいくの巻(ドラマ見学4日目)

こりゃ、どえらい作品となるに違いない……!

笑って泣けるジェットコースターのような脚本や、役者さんの演技もさることながら、撮影セットへ足を踏み入れたときに確信した。

なんなんだ、ここは。
わたしがこの日に訪れたのは、“岸本家の自宅”だった。

巨大な倉庫のようなスタジオの中に、一軒家が丸ごと建っている。ドリフで派手に倒壊するようなハリボテかと思ってたが、屋根も壁もある、今にも住めそうなヘーベル

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泣きながら進め、七実ちゃんと奈美ちゃんの巻(ドラマ見学3日目)

泣きながら進め、七実ちゃんと奈美ちゃんの巻(ドラマ見学3日目)

早朝、まだ冷たい空気のこもっている地下駐車場で。

ぽつんと離れて立ってるわたしを見つけ、跳ねるように駆けてきてくれた河合優実さんの姿が、ずっと目に焼きついている。

「奈美さんだ!」

彼女の人柄が、岸本家を岸本家たらしめていると、その瞬間に思った。

そういう“結び目”みたいな人って、本当にいる。

愛想がいいとか、元気がいいとか。そういう言葉では、あの時の河合さんの良さが表せられない。

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輝く一等星、草太くんと良太くんの巻(ドラマ見学2日目)

輝く一等星、草太くんと良太くんの巻(ドラマ見学2日目)

ダウン症の人が、連続ドラマでメインキャストを演じるなんて、日本で初めてのことだ。もしかしたら世界でも。

世界中から絶賛された映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』を観たとき、ザック・ゴッサーゲンみたいな名優が日本にもいたらいいのに、とわたしは強く強く願っていた。

まさかそれが、わたしの原作で叶うなんて。

日本に障害のある役者さんはいるけど、障害のある人が登場する作品はとても少ない。芝居で生

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ついに出会った!岸本家と岸田家の巻(ドラマ見学1日目)

ついに出会った!岸本家と岸田家の巻(ドラマ見学1日目)

わたしが書いた『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』がドラマ化され、撮影現場へ行けることになった。

「こんな機会はめったにないんやから」

魔法の言葉を唱え、岸田家の母と弟とわたしの三人が神戸からアホみたいな顔をして駆けつけた。これを唱えたのは、ユニバで滝壺に落ちる瞬間の写真を1500円で買わされた時ぶりだ。

前入りもして、朝7時に起きた。

ドラマ化も初めてなら、現場も初めて

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何色かわからん龍の背に乗って(もうあかんわ日記)

何色かわからん龍の背に乗って(もうあかんわ日記)

毎日21時更新(今日遅れてしもたけど)の「もうあかんわ日記」です。もうあかんことばかり書いていくので、笑ってくれるだけで嬉しいです。日記は無料で読めて、キナリ★マガジン購読者の人は、おまけが読めます。書くことになった経緯はこちらで。

昨日はちょっとしんどいことがあったけど、今日はちょっと楽しいことが待っていた。

17日にテレビの出演があるので、一ヶ月ぶりに東京へ行く。大学生になったとき、はじめ

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思い込みの呪いと、4000字の魔法

思い込みの呪いと、4000字の魔法

「奈美と結婚しても、ダウン症の弟くんの面倒を見る自信がない」

高校生の時、付き合っていた彼氏が言った。

ショックだったのは。
明るかった彼の、思いつめたような表情でも。
とつぜん切り出された、将来の話でも。
障害のある弟を、否定されたことでもなかった。

っていうか結婚とか急になにを言い出してんねん、どうしてん。

なにより「弟は私に面倒をかける存在で、私がその面倒を見なければならない」と思わ

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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

私が住んでいる東京という大都会に、母と弟が来た。
ひろ実と良太が来たとも言う。

母からのリークによると、新幹線の中で、弟は何度も「奈美ちゃんは?奈美ちゃんは?」と、母に聞いていたそうだ。

なるほど、なるほど。
それはそれは猛烈な歓迎を受けるに違いないと、相応の準備をしていたら。

弟に真顔で「よう」と言われた。
ちょっとちょっと。話が違うじゃないか。

弟心は、秋の空ほど移り変わる。

さて、

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先見の明を持ちすぎる父がくれた、移民ファービーとボンダイブルーiMac

先見の明を持ちすぎる父がくれた、移民ファービーとボンダイブルーiMac

先見の明を持つ人って言うと。
うん。
織田信長だよね。

なんてったって、火縄銃を大量導入してっから。
戦国大名が「無理やがな」って匙投げてんのに、モリモリ導入してっから。
騎馬隊、木っ端微塵にしてっから。

でもね。
先見の明を持ってたのは、信長だけではねえのよ。

そう。

私の父、浩二。

岸田家の信長と言っても、過言ではない。

信長は兵に、火縄銃を与えた。
父は私に、火縄銃に匹敵するブツ

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弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

高校から帰ったら、母が大騒ぎしていた。
なんだなんだ、一体どうした。

「良太が万引きしたかも」

良太とは、私の3歳下の弟だ。

生まれつき、ダウン症という病気で、知的障害がある。
大人になった今も、良太の知能レベルは2歳児と同じだ。

ヒトの細胞の染色体が一本多いと、ダウン症になるらしい。
一本得してるはずなのに、不思議ね。

「良太が万引き?あるわけないやろ」

ヒヤリハットを、そういう帽子

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最愛の母に「死んでもいいよ」と言った日

最愛の母に「死んでもいいよ」と言った日

「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」

大好きな母に、私が放った言葉です。
高校2年生の時でした。

ひどい娘だと思いますよね。
私もそう思います。
でも、母を救う唯一の言葉でした。
それしか見つからなかった。

話は少しさかのぼりまして。

私が中学2年生の時、父が突然死しました。
働きすぎによる、心筋梗塞でした。

父は建築系ベンチャー企業の経営者で、めちゃくちゃカッコいい存在でした。めちゃく

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