新作を月4本+過去作400本以上が読み放題。岸田家の収入の9割を占める、生きてゆくための恥さらしマガジン。購読してくださる皆さんは遠い親戚のような存在なのです!いつもありがとう!【有料部分の感想や一部引用を、SNSなどで投稿してくださるのも大歓迎です★】
岸田奈美|NamiKishida
年末のある日とつぜん、部屋の天井が落ちて、上階の汚水が流れこんできたときの限界記録。
比較的多くの方の目に触れてしまったnoteを集めました。
母が心内膜炎で入院、祖母は認知症が悪化、犬は大暴れで……岸田家の危機に、祖父の葬儀、鳩の襲来などが続々と!「もうあかんわ」と嘆きながら毎日更新した2ヶ月の記録。ライツ社から発刊した同名の書籍に収録していないエピソードも。(イラスト:水縞アヤさん)
NHK BSプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作エッセイ・撮影現場レポートのまとめ。ドラマは“岸本七実”が主人公のトゥル〜アナザ〜スト〜リ〜なので、読んでから観ても楽しめること大請け合い!
えらいこっちゃ。 わたしがnoteで書いてきたエッセイを一冊にまとめた本「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」が。 NHKで、全10回の連続ドラマになります!ワーッ! えらいこっちゃとしか言えないこの気持ち、Twitterで書きました。 これでもまだ、全然、思いの丈をしゃべくり足りねえです。 ずっとおもしろおかしく見守ってくださったキナリ★マガジンの読者さんには、事情と感情を、号外でお伝えさせてください。 まず、ドラマ化のお話があった日のことを、お
深夜の京都駅は慣れない大雪で、えらいことになっていた。 タクシー乗り場はズラーッと長蛇の列。全然動かない。 旅行中であろう外国人が両手をあげて「ヒィ〜!」って言ってた。蚊の鳴くような声は世界共通。 仕方ないから、行けるところまで地下鉄で行って、あとは歩いて帰ることにした。コンビニではカイロすら売り切れ。 あったかそうなものは、ピザまんだけ。 剝き身のピザまんの温もりをすすりながら、いざ死出の旅。 道は真っ白に埋まっていて、車も人もほとんど通ってない。ピザまんの灯は
道に迷うことはめったに無いが、道をさ迷うことは有る。 たいてい、弱り果てながらなにかを考えなければならない時だ。 (しまった……アレしなくちゃ!) ギクッとしたら、もうアカンのだ。目的地へ向かってサクサク歩いていたはずが、知らぬ間に右に折れたり、左に折れたり、後戻りしたり、わけのわからない道を黙々と歩き続けている。目的地にたどり着けたためしがない。 まずい用件の電話をしながら歩いてる時なんて、特にひどい。 言い訳や埋め合わせを組み立てる間、わたしはずっと、さ迷ってい
週刊少年ジャンプの『友情・努力・勝利』だけでは、どうやらどうにもならないことがあると知ったのは、大人になってからだ。 苦境から一歩を進むために、わたしがひとつ足すとすれば『時間』である。 映画『THE FIRST SLAM DUNK』に、緻密な『時間』の物語をみた。 原作・脚本・監督の井上雄彦さんは『時間』を表現する境地にたどりついた漫画家だ。人間の本質を描こうとするほど『時間』の表現が自然と組み込まれていくのかもしれない。 漫画が視線の創作だとすれば、映画は時間の創
二週間と、さらにおかわりで一週間の入院を経て、やっと母が帰ってきた。味わい損ねた正月が、これから遅れて始まる。 なにはともあれ初詣やね、と話していたとき。 四年か五年に一度、この文脈で不意に持ち上がる懐かしい思い出話があり、その一度を迎えた。 「初詣で思い出したけど、アレ、なんやったんやろな……」 昔、うちの父が初詣に連れ出してくれたのだが、神社と間違えて到着した先が、ゴリゴリに特殊な宗教施設だったことがある。 わたしが小学校中学年、弟が低学年のころである。 遊び
聞き慣れたばあちゃんの声の、聞き慣れない四文字が、スマートフォンのスピーカーから響いていた。 電話をかけなければと思い立ったのは、大晦日だった。 認知症グループホームで暮らしているばあちゃんの顔を、年末までに見に行く約束だったのに、母の入院が予想外に長引いたせいで見損ねていたのだ。 昨年の二月にグループホームへ入ったばあちゃんは、その頃からすでに昼飯を8回食らっていたので、年末の約束なんぞ忘れてるんだろうけど。送り出した者には、後ろめたさがある。 「なんやねんあんた、