
MOTHER AND BROTHER
深夜の京都駅は慣れない大雪で、えらいことになっていた。
タクシー乗り場はズラーッと長蛇の列。全然動かない。

旅行中であろう外国人が両手をあげて「ヒィ〜!」って言ってた。蚊の鳴くような声は世界共通。
仕方ないから、行けるところまで地下鉄で行って、あとは歩いて帰ることにした。コンビニではカイロすら売り切れ。
あったかそうなものは、ピザまんだけ。

剝き身のピザまんの温もりをすすりながら、いざ死出の旅。
道は真っ白に埋まっていて、車も人もほとんど通ってない。ピザまんの灯は早々に途絶えた。せめて屋根の下へと商店街に入る。
ビュオーッと雪風が吹き込んでいて、屋根の下でもー3℃だった。
お店のシャッターの前に、開いた傘が置いてある。
だれかの傘が飛んできたんかな。ちがう。
傘を屋根にして、人が寝ていた。
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