岸田奈美|NamiKishida
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いらんことは、いるねんて|@梅田
キナリ☆マガジン購読者限定で、「小説現代12月号」に掲載している連載エッセイ全文をnoteでも公開します。
https://books.rakuten.co.jp/rb/16518159/
表紙イラストは中村隆さんの書き下ろしです。
意味、理由、目的。
こういったものが、いつもわたしの行動には裏地のように縫い付けられている。
意味のない会話、理由のない苦しみ、目的のない外出は、裏地を剝ぎ
死んだ父が、文字だけ生き返った
手で書いた文字を見ると、その人柄や人生まで伝わる、と最近教わった。
たしかに、おおらかな人の文字はなんとなく、ゆったりしているような。せっかちな人の文字はなんとなく、急いで書いているような。
わたしは、自分の字が嫌いだった。どうひいき目に見ても、汚いからだ。汚い理由は、岸田家の母から語り継がれている伝説がある。
「一番、字の書き方を教えないとアカン小学生の時に、良太(知的障害のある弟)のこと
先に伝えておきたい、使いすぎた有り金のこと
「一年生になったら、一年生になったら、友だち100人できるかな」を歌いながら「100人もいらんやろ、名前覚えられへんわ」と思っていたタイプのひねくれ者である。
今となってはそのひねくれが、間違っていなかったとほくそ笑む。
こうやってインターネッツの海で、Twitterとnoteというバナナボートに乗り、漂流するようになってから、つくづく思うことは。大切なのはフォロワーさんの数の多さではなく、関
優しい人が好きだけど、人に優しくされるのがおそろしい
わたしには、友だちがいなかった。世のなかにいろんな情あれど、友情は特にすばらしい。
そんなことはわかっている。
そこらへんの漫画本も、トレンディなドラマも、いやになるほど流れてる歌も、友情はいいぞと言ってくるのだから。
そうは言っても、思い当たる友だちがいない。
作家になってから人と会う回数が増え、ありがたいことにごく薄い友情のようなものを何人かと結べたけど、それ以外はさっぱりだ。2年以上