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岸田奈美|NamiKishida
年末のある日とつぜん、部屋の天井が落ちて、上階の汚水が流れこんできたときの限界記録。
比較的多くの方の目に触れてしまったnoteを集めました。
母が心内膜炎で入院、祖母は認知症が悪化、犬は大暴れで……岸田家の危機に、祖父の葬儀、鳩の襲来などが続々と!「もうあかんわ」と嘆きながら毎日更新した2ヶ月の記録。ライツ社から発刊した同名の書籍に収録していないエピソードも。(イラスト:水縞アヤさん)
NHK BSプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作エッセイ・撮影現場レポートのまとめ。ドラマは“岸本七実”が主人公のトゥル〜アナザ〜スト〜リ〜なので、読んでから観ても楽しめること大請け合い!
「マジでお前、殺すからな」 高校三年生、一学期の終業式の直後、剛速球ストレートの罵詈をバリバリ投げてきた、このギャル。 「あんたも関学志望らしいなあ」 同じ志望校だった。 「せやで、がんばろな」 実際のわたしは震えていて、こんな風にはっきり言えんかった。せいぜい「がっ」と「ばっ」と「なっ」を細切れに漏らした程度で、発音としてはほぼガッバーナであった。 「死ね」 志望校とは殺しあいで奪うものである。一瞬、納得しかけた。わたしの知らないルールで受験と戦っている人もいる
みんなの「もうあかんわ」な話を、岸田奈美が趣味で集めています。採用されたら、図書券やステッカーを送りつけます。 →なぜ集めているのか? →応募フォーム 今週のMVP:なんでもかんでもみんな(はる)スーパーで買い物をしていると、知り合いを発見した。へんな踊りを交えつつ近づいたら、まったく知らない方だった。 苦笑いをさせてしまい、申し訳なかった。 自分の視力が著しく低下していたことに、もっと早く気づけば良かった。 花粉症だと思ったら(けんけん) わたし、認めたくないけ
居心地の悪い店を引き当てるのが、壊滅的にうまい。 わたしの数少ない特技である。まったくもって、そんなもんを特技にしたくはない。しかし、どうあがいても特技になってしまう無情が、この世にはある。 つい先週、前職の同僚と久しぶりに東京で会うことになった。 店を予約したのはわたしだ。うまい焼き鳥を出すという店を選んだ。入ったことはないけど、名前はよく聞くし、20年も続く老舗なので安心していた。 カウンター席に通されて、つもる話も食欲もMAXになったわたしたちが、キャイキャイし
月曜の深夜、タイムラインに衝撃があらわれた。 カメがスケボーに乗っている動画だった。 だまされたと思って、一度、見てほしい。 カメがスケボーに乗っている。 間髪入れずに、三回見た。 一回目は絶句し、 似回目は爆笑し、 三回目は…… 号泣した。 それはもう、何事かと思われるほど、泣きに泣いた。感情と涙腺をつなぐ回路が焼き切れてしまったように泣いた。 ひとりぼっち、頬が荒れるほどに涙を流しきったあと「なぜこれで……」と、己の情緒に怯えた。 子どもが束になって合唱す
その時、わたしは、ケーキを選んでいた。 爆裂においしいケーキのために、わざわざ隣の市まで車を走らせ、行列に並んだのである。 「なー、なー!どれにする?」 一緒に来たはずの母を振り返ると、なにやら電話をしていた。 「良太が……」 電話を切った母が、わが弟の名前を出す。 「いなくなったって……」 ケ、ケーキを目前に、よりにもよって今、そんな面倒くさそうな事件が。モンブランに後ろ髪を引かれながら、うわの空で状況を聞いた。 弟は月に二度、移動支援というサービスを受けて