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岸田奈美|NamiKishida
年末のある日とつぜん、部屋の天井が落ちて、上階の汚水が流れこんできたときの限界記録。
比較的多くの方の目に触れてしまったnoteを集めました。
母が心内膜炎で入院、祖母は認知症が悪化、犬は大暴れで……岸田家の危機に、祖父の葬儀、鳩の襲来などが続々と!「もうあかんわ」と嘆きながら毎日更新した2ヶ月の記録。ライツ社から発刊した同名の書籍に収録していないエピソードも。(イラスト:水縞アヤさん)
NHK BSプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作エッセイ・撮影現場レポートのまとめ。ドラマは“岸本七実”が主人公のトゥル〜アナザ〜スト〜リ〜なので、読んでから観ても楽しめること大請け合い!
弟がグループホームへ本入居することに決まったので、そうと決まれば、いろいろと決まりごとの確認や、送迎車もドライバーさんの募集をしなければ。 わたしと母と弟で、再び、グループホームを訪れた。 中谷のとっつぁんと、スタッフさんたちが待ってくれていた。 他の入居者枠も、あっという間に埋まってしまったそうだけど、今日はまだ誰もいなかった。 こういうちゃんとした場に座ると、弟は姿勢を正して、やや顔がこわばる。 「良太さん、なに飲みます?」 「あー……じゃあ、ぼく、お茶を、お
一ヶ月間の、弟のグループホーム体験入居が終わった。 「良太。ほんまに、あそこで暮らせそう?」 母には「うん」と答えたらしいが、何度かたずねると、たまに「うーん」と首をひねっている。そりゃそうだ。生活が大きく変わる、人生の節目。 弟とふたりで話してほしい、と母から頼まれた。 「良太はな、奈美ちゃんといるときはめっちゃ笑うねん」 そんなアホな。 しかし、母が自撮りして送ってくるツーショットでは、弟はいつも仏頂面である。 「体験入居中、良太が夜中の二時とか三時とかに電
キナリ☆マガジン購読者限定で、「小説現代8月号」に掲載している連載エッセイ全文をnoteでも公開します。 表紙イラストは中村隆さんの書き下ろしです。 母と一緒に、上京する仕事ができた。 新神戸駅から東京駅まで、新幹線のぞみ号に乗って。母は昨年春に心内膜炎の大手術をしてから、神戸を離れることはほとんどなかったので、遠出は久しぶりだ。 四時間も眠らないうちに始発の新幹線へ飛び乗ったのだが、母は元気だった。それどころかギンギンに冴えていた。 「富士山、いつごろ見えるやろか
三週目のグループホーム体験入居が、はじまる。 週末、いったん実家へ帰ってきた弟が、ふらつきながら部屋を出てきた。足がもつれている。とはいえ、どう見てもわざとなので、もつれるというか、小粋なステップを踏んでいる。 「ちょっと、なんかぼく、しんどいねん」 「しんどいん?」 「ねつあるねん」 「マジか。体温計はかったるわ!」 「いいねん、いいねん」 弟は、小粋なステップでわたしの横をすり抜けていく。テレビ台の小さな引き出しから、薬の箱を取り出した。 「くすり、のむね
体験入居中のグループホームへ、もう行かないと宣言する弟。いままでの苦労が水のバブルになるやも。 あせってはいけない。 「なんで行きたくないん?」 「もう、あかん、っていわれます」 「あかんって、なにがや」 「スマホで、でんわしたら、あかんって、いわれます」 実際は「あっ、いやあ、スマホが」「でんわ、あかんって」「いわれる、あかん」「だめ、スマホ」とか、もそもそ説明していた。 弟は、昨年に母が入院をしたのをきっかけに、スマホを持ってる。グループホームに体験入居して
陸上寿司愛好会、発起人の岸田奈美です。 陸上寿司愛好会とは、陸でとれたネタの寿司をとにかく愛でまくる会です。表の顔は。 裏の顔としては「それって子どもが食べるやつだよね」「寿司屋にきて魚を食べないとか損してるよ」「雑魚寿司(笑)」などとおっしゃる方々の口へ、順番にシャリという名の思想を詰め込んでいく平和運動団体です。ストップ、寿司差別。 さて。 陸上寿司を食べ続けてる愛好者も。 陸上寿司が気になるけど、やっぱり海中寿司が食べたいという水陸両用者も。 北海道発の回転