岸田奈美|NamiKishida

100文字で済むことを2000文字で書く。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった(小学館)』『もうあかんわ日記(ライツ社)』『傘のさし方がわからない(小学館)』『飽きっぽいから、愛っぽい(講談社)』|コルク所属|関西大学客員教授

岸田奈美|NamiKishida

100文字で済むことを2000文字で書く。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった(小学館)』『もうあかんわ日記(ライツ社)』『傘のさし方がわからない(小学館)』『飽きっぽいから、愛っぽい(講談社)』|コルク所属|関西大学客員教授

マガジン

  • 岸田奈美のキナリ★マガジン

    新作を月4本+過去作400本以上が読み放題。岸田家の収入の9割を占める、生きてゆくための恥さらしマガジン。購読してくださる皆さんは遠い親戚のような存在なのです!いつもありがとう!

  • 漏水ビチョビチョ日記〜天井から汚水が止まらない人間の記録〜

    年末のある日とつぜん、部屋の天井が落ちて、上階の汚水が流れこんできたときの限界記録。

  • 【無料】よく読まれる記事

    比較的多くの方の目に触れてしまったnoteを集めました。

  • もうあかんわ日記〜2ヶ月間の限界家族〜

    母が心内膜炎で入院、祖母は認知症が悪化、犬は大暴れで……岸田家の危機に、祖父の葬儀、鳩の襲来などが続々と!「もうあかんわ」と嘆きながら毎日更新した2ヶ月の記録。ライツ社から発刊した同名の書籍に収録していないエピソードも。(イラスト:水縞アヤさん)

  • 家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

    NHK BSプレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の原作エッセイ・撮影現場レポートのまとめ。ドラマは“岸本七実”が主人公のトゥル〜アナザ〜スト〜リ〜なので、読んでから観ても楽しめること大請け合い!

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記事一覧

通報する神あれば、親切する神あり(姉のはなむけ日記/第17話)

こんなふうに生きられたら(姉のはなむけ日記/第16話)

飽きっぽいから、愛っぽい|ホラ吹きの車窓から@静岡県新富士駅のあたり

夕暮れの大脱走(姉のはなむけ日記/第15話)

ギンギラギンの26歳男児(姉のはなむけ日記/第14話)

いいから北海道発「トリトン」と「根室花まる」で陸上寿司を食べてくれ

通報する神あれば、親切する神あり(姉のはなむけ日記/第17話)

弟がグループホームへ本入居することに決まったので、そうと決まれば、いろいろと決まりごとの確認や、送迎車もドライバーさんの募集をしなければ。 わたしと母と弟で、再び、グループホームを訪れた。 中谷のとっつぁんと、スタッフさんたちが待ってくれていた。 他の入居者枠も、あっという間に埋まってしまったそうだけど、今日はまだ誰もいなかった。 こういうちゃんとした場に座ると、弟は姿勢を正して、やや顔がこわばる。 「良太さん、なに飲みます?」 「あー……じゃあ、ぼく、お茶を、お

こんなふうに生きられたら(姉のはなむけ日記/第16話)

一ヶ月間の、弟のグループホーム体験入居が終わった。 「良太。ほんまに、あそこで暮らせそう?」 母には「うん」と答えたらしいが、何度かたずねると、たまに「うーん」と首をひねっている。そりゃそうだ。生活が大きく変わる、人生の節目。 弟とふたりで話してほしい、と母から頼まれた。 「良太はな、奈美ちゃんといるときはめっちゃ笑うねん」 そんなアホな。 しかし、母が自撮りして送ってくるツーショットでは、弟はいつも仏頂面である。 「体験入居中、良太が夜中の二時とか三時とかに電

飽きっぽいから、愛っぽい|ホラ吹きの車窓から@静岡県新富士駅のあたり

キナリ☆マガジン購読者限定で、「小説現代8月号」に掲載している連載エッセイ全文をnoteでも公開します。 表紙イラストは中村隆さんの書き下ろしです。 母と一緒に、上京する仕事ができた。 新神戸駅から東京駅まで、新幹線のぞみ号に乗って。母は昨年春に心内膜炎の大手術をしてから、神戸を離れることはほとんどなかったので、遠出は久しぶりだ。 四時間も眠らないうちに始発の新幹線へ飛び乗ったのだが、母は元気だった。それどころかギンギンに冴えていた。 「富士山、いつごろ見えるやろか

夕暮れの大脱走(姉のはなむけ日記/第15話)

三週目のグループホーム体験入居が、はじまる。 週末、いったん実家へ帰ってきた弟が、ふらつきながら部屋を出てきた。足がもつれている。とはいえ、どう見てもわざとなので、もつれるというか、小粋なステップを踏んでいる。 「ちょっと、なんかぼく、しんどいねん」 「しんどいん?」 「ねつあるねん」 「マジか。体温計はかったるわ!」 「いいねん、いいねん」 弟は、小粋なステップでわたしの横をすり抜けていく。テレビ台の小さな引き出しから、薬の箱を取り出した。 「くすり、のむね

ギンギラギンの26歳男児(姉のはなむけ日記/第14話)

体験入居中のグループホームへ、もう行かないと宣言する弟。いままでの苦労が水のバブルになるやも。 あせってはいけない。 「なんで行きたくないん?」 「もう、あかん、っていわれます」 「あかんって、なにがや」 「スマホで、でんわしたら、あかんって、いわれます」 実際は「あっ、いやあ、スマホが」「でんわ、あかんって」「いわれる、あかん」「だめ、スマホ」とか、もそもそ説明していた。 弟は、昨年に母が入院をしたのをきっかけに、スマホを持ってる。グループホームに体験入居して

いいから北海道発「トリトン」と「根室花まる」で陸上寿司を食べてくれ

陸上寿司愛好会、発起人の岸田奈美です。 陸上寿司愛好会とは、陸でとれたネタの寿司をとにかく愛でまくる会です。表の顔は。 裏の顔としては「それって子どもが食べるやつだよね」「寿司屋にきて魚を食べないとか損してるよ」「雑魚寿司(笑)」などとおっしゃる方々の口へ、順番にシャリという名の思想を詰め込んでいく平和運動団体です。ストップ、寿司差別。 さて。 陸上寿司を食べ続けてる愛好者も。 陸上寿司が気になるけど、やっぱり海中寿司が食べたいという水陸両用者も。 北海道発の回転