いいから北海道発「トリトン」と「根室花まる」で陸上寿司を食べてくれ
陸上寿司愛好会、発起人の岸田奈美です。
陸上寿司愛好会とは、陸でとれたネタの寿司をとにかく愛でまくる会です。表の顔は。
裏の顔としては「それって子どもが食べるやつだよね」「寿司屋にきて魚を食べないとか損してるよ」「雑魚寿司(笑)」などとおっしゃる方々の口へ、順番にシャリという名の思想を詰め込んでいく平和運動団体です。ストップ、寿司差別。
さて。
陸上寿司を食べ続けてる愛好者も。
陸上寿司が気になるけど、やっぱり海中寿司が食べたいという水陸両用者も。
北海道発の回転寿司屋に行ってくれ。
という話をします。
広大な北海道をその身に宿した、とにかく豪快で新鮮なネタ。食料自給率198%というバグッた大地が“美味さ”の拳で殴りかかってくるのです。成すすべがない。敗戦の弁すらもシズル感にまみれること必至。
※当然のようにPR企画ではありません。一銭ももらってません。愛はいつももらってます。その代わり、取材という取材ができてないので、情報がちぐはぐなところがあります。ごめんなさい。
というわけで頼むから、北海道発の回転寿司屋で、陸上寿司を食べてくれ。
理由その1
高級寿司屋に引け目をとらない本格的な美味さ
陸上寿司を食べられる高級寿司屋は、そうそうありませんからね。われわれのメインの戦場は回転寿司屋。しかし、大手チェーンでは実現が難しい、缶詰や輸入に頼らない希少食材や産地直送素材、少数生産の手作りをいただけるのが魅力!
理由その2
海中寿司派も一緒に大満足できる
これです。正直、陸上寿司だけを目当てにするのであれば、大手全国チェーン店に行った方が種類も倍ほど多いです。しかし北海道なら、そもそも魚介類 のクオリティが高い!海中寿司も陸上寿司も思い思いに「美味いね、来てよかったね」と言い合える。平和の足音が聞こえてくる。
理由その3
お財布に優しい
ちゃんと安い。そこはちゃんと回転寿司。獲れたてだけど。むちゃくちゃネタがでかいけど。お値段据え置き。仕入れどうなってんねん。
理由その4
実は東京でも食べられる
北海道民の慈悲により、なんと東京あたりまでお店が南下してくれてるのです。心が凍って狂うと書く日本の首都・凍狂(トーキョー)で、豊かな北海道の回転寿司にありつけるのは嬉しい。来れない人は新千歳空港行きのチケットを買ってください。今すぐ。
このくだりだけで理由その10くらいまではいけますが、本題に入りましょう。
今日、わたしが勝手に食べに行って、勝手にご紹介するのは……
「回転寿しトリトン」 と 「回転寿司根室花まる」だーっ!
回転寿しトリトン
言わずと知れた、北海道を代表する王回転寿司チェーン店。東京だとソラマチと池袋で食べられます。このためだけに東京へ出張したんですが、あまりに念願で嬉しすぎて、お店の外観を撮影するのを忘れました。
いつも行列です。休日の飯どきには三時間待ちなんてのもありました。予約できないので、できれば時間をずらして行きましょう。全然待てるけどな。
さっそく寿司以外のことから言い出しますが、接客がていねい。
「いらっしゃいませ。握り担当の○○です、よろしくお願いします」
職人さんが挨拶に来てくれます。回転寿司の常識をくつがえしてくる体験。レーンにお寿司はほぼ回っておらず、注文すると握ってくれます。
1.マヨコーン軍艦(回転寿しトリトン)
優勝です。
すみません、私情が出てしまいました。わたしは陸上寿司のなかでも一番好きなのがマヨコーン軍艦なのです。マヨコーン軍艦好きは絶対にトリトンへ行ってください。別格のマヨコーン軍艦です。
最低限のマヨネーズは、コーンそのものの味が濃いという自信のあかし。ひと粒ずつ、口で弾けて、凝縮されたコーンの甘さが調和する。マヨコーン軍艦の哲学と技術がここに極まれり。
握り職人さんにたずねたところ、缶詰のコーンではなく、北海道産のとうもろこしを茹でて使っているとのこと。
あまりの仕上がりに、わたしは感極まって涙が出ました。ずっとキミに会いたかった。
2.揚げなす味噌(回転寿しトリトン)
これを思いついた人は天才じゃなかろうか。今まで食べてきた陸上寿司の中でもトップ入り。コーン軍艦への私情を抜きにすると、ダントツで美味かった。
揚げたなすの切れ目に、大葉と味噌とゴマ。細かい仕事に感謝しながら口に入れると、トロトロッと舌先でとけて、旨味がなだれこんでくる。
「これはちょっと……すごいね……!」
安藤なつさんも納得のハーモニーです。シンプルに芸能人です。なぜこんなところにいるのか。友人として、おもしろがってついてきてくれました。
なつさんはタコとイカの寿司を愛でていますが、陸上寿司も職人さんをベタ褒めしながら食べてくれました。水陸両用大使です。こういう存在は大切にしなければならない。
3.大人の納豆巻(回転寿しトリトン)
十勝産納豆はもうそれ自体に大豆の濃い味がギュッと詰まってるんですが、そこへさらに大人の贅沢が加わってます。
わさびです。
トリトンのわさびは、すりたてで、上品な容赦なき辛さ!クセになります。
ついでに食べ放題のガリも凝ってる味つけ。なにを食べても美味い。
4.山わさびカッパ巻(回転寿しトリトン)
なにかと取るに足らない箸休め寿司とされがちなカッパ巻ですが、こんな美しいカッパ巻を見たことがあるかい。目を疑う、キュウリの細さ。もはやアートです。森美術館に話をつけてください。
このカッパ巻は、口に入れると“開放”の号令によりキュウリが一斉にほどけます。新しい体験。
横に添えられているものは、おわかりですね。山わさびです。あまりの辛さが鼻を抜けて涙が出ました。本日二回目の幸福な涙でした。
5.ザンギロール(回転寿しトリトン)
えらそうな顔した政治家や目の上ブルーなおばさんも、ザンギロールの前ではみんな育ち盛りのような顔で大喜びすることでしょう。
北海道ではおなじみのザンギを、マヨネーズと一緒に巻いてます。揚げたてのザンギの衣が、甘辛いタレを吸ってフワッフワ。中の鶏肉はプリップリ。できたての温かいお寿司。もはや、極小の丼です。
6.たまご握り(回転寿しトリトン)
たまご握りは、シンプルながらそのお店の腕前が如実にあらわれると言いますね。さしづめバーにおけるマティーニってところでしょうか。そんなしゃらくせえ知識も、すべて幸福感で包んで連れていってくれるこの優しい黄色。
ふんわり甘いです。でも、砂糖の甘さにまったく負けず、上がってくるのはしっかりした卵黄の味。右から上がってくる長友に匹敵する安心感。ここはもう実家です。
べらぼうに高い卵かけご飯を食らったときの風味がしました。
たまごは人気なので単品でも頼めるのですが、なんと「温かいの」と「冷たいの」があります。長友のプレースタイルばりの八面六臂な活躍。
回転寿しトリトンでは、シャリ少なめ、シャリなし、を選べるのも地味に嬉しい。「お腹いっぱいでもさ、ちょっと陸上寿司を食べてみなよ」と、シャリ少なめにして、友人を陸上寿司愛好会に引きずりこめるチャンスです。
このほか、単品メニューに「北海道ザンギ」「いももち」「フロマージュチーズケーキ」「夕張メロン」など、北海道の幸がこれでもかと用意されています。
なつさんは世界情勢が不安定なこの時期に、デカめのムラサキウニを食べられることに感動し、そのあとに初めて食べたタコの卵に驚愕していました。寿司は楽しいね。
回転寿司 根室花まる
続いては、回転寿司 根室花まる。立ち食いもあるけど、陸上寿司のメニューが多いのは断然、回転食いのほう。
ただし、根室花まるは、強すぎる地元・根室港と密な関係なので、海中寿司がメインです。陸上寿司の通年メニューは少なめ。
漁港で水揚げされた旬の食材をバンバン使うので、その日のメニューも目まぐるしく変わります。
陸上寿司を目当てに行くのは、博打性が高めとも言えます。
そのかわり、
博打に勝利すると、絶品の陸上寿司で舌鼓を打てます。競馬で一発当てたことがある人も、ない人も、神社でお参りしてから行きましょう。寿司大明神様。
(以下は2021年11月にうかがったときの情報です。近いうちにまた必ず行きます、ごめんなさい)
1.玉子サンド(回転寿司 根室花まる)
玉子握りでもない、玉子サンド。寿司屋で玉子サンド。頼んでみてびっくり、でっかい玉子に切れ込みがあって、シャリとキュウリがギュウギュウに詰められています。玉子が捕食してるようにも見える。魚卵はあったら豪華ですが、苦手だったら抜いてもらえます。
ほら見て。
こんなにでっかい。こんなにでっかいのに、一番安い皿なんです。不思議な名物メニュー。
味はほのかな甘味とだし汁、そしてなによりプルップルです。両側から玉子の歯ごたえを感じられて、最後にシャリへ行き着くという新食感。
2.蝦夷まいたけ天ぷら(回転寿司 根室花まる)
この日は秋だったので、秋野菜の味覚が楽しめました。蝦夷とまいたけと天ぷら。どこをどうとっても美味いだろうと。ちいさなレモンを挟んで、しゃなりしゃなりとご登場。
残念ながら季節限定メニューですが、根室花まるの揚げ物メニューは、クドくなくて、素材の味が引き立ってる!もちろん揚げたてです。季節ごとにどんな野菜が揚がってるのかな、とワクワクします。
おなじみ、ザンギもあります。せり立つほどにボリューミー。
3.納豆天ぷら巻き(回転寿司 根室花まる)
根室花まるは、たまに想像もできないようなメニューが突然、レーンで回ってくるのです。
納豆……天ぷら……巻き……!?
なんでも揚げていくストロングスタイル、憎めません。なにより蝦夷まいたけのクオリティの高さにより、根室花まるで回ってんならそりゃ美味いだろう!と確信できます。マーケティング用語ではハナマリング効果といいます。
納豆が天ぷらになっていました。納豆も驚いたことでしょう。それ以上に、マヨネーズ、大葉、シャキシャキのネギとの相性が素晴らしい。
他にも、「ハンバーグ握り」「チーズ巻」「月見納豆」などのいつでも食べられる陸上寿司があります。回転寿しトリトンでわたしが感動したのと同系統の「なす田楽握り」「山わさびカッパ巻」も。
いやもう絶対に美味いのですが、すみません。
愛に対して、取材の手が行き届いておりません。
陸上寿司への過激な愛だけを推進力にしてやってきたら、このざまです。後ろに誰もいません。そりゃそうですよね。ただ寿司を紹介するだけなのに、いらんことを書きすぎて4000文字を越えました。
根室花まるさんには近いうち必ず再訪しますので、更新をお待ちください。
近いうちに陸上寿司特派員をスカウトしようと思います。
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