岸田奈美|NamiKishida
100文字で済むことを2000文字で書きます。noteをまとめた本『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった(小学館)』『もうあかんわ日記(ライツ社)』『傘のさし方がわからない(小学館)』『飽きっぽいから、愛っぽい(講談社)』|コルク所属の作家
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冬がはじまるよ〜のぞみ64号東京行き4号車で、槇原敬之が聴こえたら〜
疲れていた。
泥のように疲れていた。
締め切りが迫った原稿を、ギリギリまで書き終え、気づけば朝すらも通り過ぎ、昼になっていた。
その足で用意をし、広島県福山市の講演会で2時間喋り倒した、帰りだった。
東京行き最終の新幹線・のぞみ64号の4号車に、走ってなんとか飛び乗る。
乗客は私と同じように皆、長い一日の終わりに放心しているようで、静かだった。
いつの間にか眠ってしまった私は、車内チャ
【突撃!岸田の文ごはん】浅生鴨さんは、最後に一文付け足すらしい
言葉の勉強をしようと思ったら、伝説のしゃもじを授かり、突撃することになった私の大長編です。
そんなわけで、私は、大きなしゃもじを持って、浅生鴨(あそう・かも)さんへ会いに行った。
「うまいタイトルの付け方」を学ぶためだ。
浅生さんは別れ際に「1行目を書けたら、あとは勝手に続くよ」と言ってくれたのだが、私はこの1行目を書いて、しばらく頭を抱えた。
どうなるかわからないけど、目の前で起こったこ
言葉の勉強をしようと思ったら、伝説の大きなしゃもじを手に入れていた話
キャッチコピーを書くセンスが、まるでない。
そう気づいたのは、ありがたいことに雑誌やWEBメディアからいくつかの連載をいただいてからだった。
タイトルがうまくつけられない。
タイトルは、とても大切だ。情報がテキ屋のベビーカステラのごとくボロボロボロボロとあふれ、どんどんどんどん焼かれていくこの世界で、自分が書いた文章に目を止めてもらうには、タイトルしかない。
人の目を引き、しかも、本文をわ