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自動車教習おかわり列伝-12日目「ピンチはほらチャンスだと」

32歳が自動車免許をとるために、ヒィヒィがんばる短期集中連載。

1日目「適性検査の神童」
2日目「異世界転生系教習生」
3日目「盗んだPCで学び出す」
4日目「牙をもがれたオジン」
5日目「ヒヨ夫とヒヨ美」
6日目「踏切で座布団を燃やせ」
7日目「原付をなめるな」
8日目「ありがとう抑止力」
9日目「交通奇譚お気持ちバトル」
10日目「救命教習24時」
11日目「どんだけやっても、人生終わる」

「ちょっとさあ、運転怖くなっちゃったんだよねえ」

高木さんの一件でナイーブになったわたしは、一周まわって悟ったような、けったくそ悪い物憂げな瞳をチラつかせていた。

神妙な顔で聞いてくれた知人が、口を開く。

「……あんた、三回目なんよな、教習所」

「うむ」

「つべこべ悩む前に、卒業という落とし前つける方が先では」

おっしゃる通りである。自動車教習はワンコそばみたいなノリで、おかわりし続けて良い場所ではない。この支配からの卒業。闘いからの卒業。

そう、卒業検定が目前に迫っていた。

真夏の暑さで思考を停止し、むちゃくちゃ通い詰めたら、2ヶ月とかからず最終関門までたどり着けてしまった。普通料金で特急並みの早さで修了する。わたし史上の快挙。

だが、受かる気がしない。

わんぱく路駐と荒くれ自転車による邪気うずまく京都の街を走り抜け、無事に戻って来られるかどうかもわからないのに、あまつさえ、縦列駐車か方向転換を成功させなければならない。

縦列駐車は、ポール(棒)を「1、2、3本……ここでハンドルを右に!」って感じで数える、ファミ通の攻略本に載ってそうなインチキを駆使して、どうにかなったが。

方向転換が……できなくて……!

運転席側は窓の外を見りゃわかるが、助手席側が見えないにも程がある。ガコンッ!つって、余裕で脱輪しちゃう。

「考えたらあかん!感じるんや!」

教官がニュータイプみたいなことを言い出して、泣きそうになった。

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週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。