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10月の振り返り〜生まれたてのサプライズ〜

こんにちは!芋の煮えたもご存知ない、岸田奈美です。

もたもたしちゃいましたが、10月にやったこと、書いたことをまとめました。キナリ★マガジンの購読するなら、月の初めがおすすめ。

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岸田家(わたし、母、弟、ばあちゃん、梅吉)の収入の9割を占めているのが、キナリ★マガジンの購読費です。リアルに食いぶち。

【近況】弟が27歳になったので祝いました

子どもとゴーヤは育つのが速い!弟が11月5日をもちまして、もう27歳になってしまいました。

ちょっと奮発して、母と三人で船上ディナーにシャレ込みまして。そしたらピアノとサックスの生演奏がありまして。

弟がちょっと冗談っぽく

「はっぴばーすてー、とーゆー」

と小さなステージの方を見て、口ずさむんです。

あれっ、もしかして、わたしがサプライズ演出頼んだのを察してるんかな……?一瞬、ヒヤッとしましたが、違いました。ただ「僕の誕生日をお祝いしてくれたら嬉しいなあ」という彼の願望でした。出たがりっ。

そして、宴もたけなわになった頃。

ジャズの演奏が、だんだんと、聞き覚えのある曲に。弟が気づいて、振り向こうとすると。

「本日、お客さまの中に、お誕生日を迎える方がいます……!」

スッ。

「……えっ、えっ、ぼく?うっそー!ぼく?ほんとですか?」

「ほんとに?うわっ、わるいなあ、こんなん、いいんかなあ」

「ほんまかあ、うわー、うれしいなあ……」

主役は泣いた。

涙をぬぐう指の間から、チラッ、チラッとわたしと母を伺っている余裕があるのが、ちょっとおもしろかったので笑ってしまった。伺うな。

他のお客さんも温かく拍手を送ってくだすった。

ケーキとコーヒーをいただいてると、弟がやけに、落ち着きなさそうに辺りを見回してる。おかわりしたいんかなと声をかけると、弟は意を決したように立ち上がった。

「ぼく、みんなに、いうてきます」

何をや。

待て待て待てと、弟を着席させてわけを聞き出すと、どうやらお客さん全員にお礼を言いたがっていた。

そうこうしているうちに、ステージを降りた演奏者さんや、お皿を下げるスタッフさんが「おめでとうございます」と弟に言ってくれる。

「ああ、どうも、ほんとう、ありがとざいますっ!」

弟の腰が90°に折れた。それは最敬礼や。百貨店では謝罪やクレーム応対時に使うと言われている角度や。

「ほな、ぼく、みんなに、いうてきます」

何をや。

謎の使命感にかられ、バンケットルームすべてのお客のテーブルを回る勢いの弟をなんとか、なだめ引き止めた。

弟は、お店でお祝いのサプライズをしてもらうのも、サプライズを見るのも、生まれて初めてだった。

わたしのように、社会の事情に触れ、薄汚い大人になってしまうと「ああ、店に頼んでサプライズ演出してもらったのね」と予想できてしまうが。弟は違う。

最初からわたしが店に頼んでいたなどとは思いもせず、自分が「誕生日の演奏してくれたらいいなあ」と呟いただけでピアノとサックスが演奏してくれ、お店の人があわててケーキを用意し、拍手を送るためにお客さんたちもわざわざ乗船してくれたのだ、と弟は思っていたのだ。

なので、そんな大がかり&鬼ホスピタリティなもてなしをしてくれた全員に、心からお礼を伝えに行きたいと。僕のために集まってくれてありがとうございますと。そういうわけだった。

種明かしをしてみたものの、わたしの説明を弟がちゃんとわかったのかどうかは怪しい。どうしよう、弟の自意識を爆裂に上げすぎてしまったかもしれない。ライジング・自意識サン……!

まあ、いっか。


【近況】ジブリパークに行って感想を書き連ねました

実存する場所やイベントに、感想だけじゃなくて、深読みして考察じみたものを書くというのはあまりしてこなかったんですが、ついにやってしまいました。

11月1日にオープンしたジブリパークへ行って、なんとも言えない思いの丈があふれ、徹夜で1万3000文字をしたためました。衝動で生きている。

わたしみてえなもんにも、

「この施設やイベントを見学して感想を書いてください」「この商品を試してレポートを書いてください」

といった依頼をいただくんですが、心を痛めながら、そのほとんどをお断りしています。スケジュールの都合もあるんですが、それがどんなに良いものでも、どうしても書けなくて。

なんでだろうなと首を傾げていた理由が、少しわかった気がします。

わたしは、まだ誰も語っていない愛にふと気づき、心をドカンと動かされることがあります。語っていないのは、愛を込めた本人も気づいていなかったり、事情があって語ることができない、などの理由からです。けれど、その愛が語られていないばかりに、誤解をされたり、見過ごされたりして、そんなのあんまりだとわたしは傷つきます。そういう時にわたしは、わたしが気づいた愛を言葉にして、自分に言い聞かせるように、残しておきたいと思うんです。ですが、その愛を込めた人は、できるだけわたしから遠い方がいい。なんなら、わたしの言葉に気づかない、なんなら読まないぐらいの距離がいい。これがあまりに近いと、わたしはどうしても、その人を喜ばせたくて感情をモリモリに盛ってしまうし、嘘をついてしまって、巡り巡って数年越しにしんどくなっちゃう。

大げさな表現ですが、本当に届けたい相手には届かないぐらいが良い、という意味では「祈り」に近いです。

今回でいうと、ジブリパークに制作陣が込めた思いやこだわりを勝手に感じ取ってしまったがゆえに、ジブリパークをUSJやTDLと同列のテーマパークだと思って期待外れだとけなしている人の感想に勝手に傷つき、わたしはわたしの感性と、その感性をくれたジブリパークへの祈りで書いたと。

ただ、こんなことを一方的に書かれて、祈られて、相手は嫌な気持ちにならないかなあ、という心配はついてまわるんですけどもね。

どんな物語にも細部に愛はあると信じて、手探りで見つけられるようになりたいです。本や映画など、作品の評などはその訓練のためにも、できるだけお受けして、書いていこうと思います。


【報告】同人誌の発送と変更連絡について

10月まで募集していた「姉のはなむけ日記 同人誌」ですが、印刷と発送の作業に11月いっぱいかかる見込みです。どれだけ遅くとも12月前半には、お手元に届くかと思います。海外在住の方はもう少し遅くなるかもしれませんが、あまりに遅くなるようでしたら、目処をご連絡します。

申し込んだあと、引っ越しなどで、発送先の変更がある人は

こちらのメールフォームから11月11日までにご連絡ください。

11月11日以降に引っ越した人は、郵便局の転居・転送サービスなどをあらかじめ設定してください。また、少し時間はかかりますが、宛名や住所のミスなどで事務所に返ってきてしまった分は、メールでご連絡します。

発送が終わりましたら、キナリWEB・月の振り返りnote・Twitterで、ご報告します。しばし待たれよ。

【告知】水野敬也と岸田奈美のLOVE相談

『夢をかなえるゾウ』や、わたしを抱腹絶倒させた伝説の恋愛バイブル『LOVE理論』を書いた水野敬也さんと、podcastをはじめました。

こんなに……こんなに喋ってて毎回生まれ変わる心地で楽しいのに、番組にまでしてもらっていいんかと。永遠に続けたいので、どうか聞いてください。

【告知】文学フリマ東京に出店します(中止)


家族の事情で出展はとりやめとなりました。申し訳ありません。

2022年11月20日(日) 12:00〜17:00に、東京流通センターで開催される文学のお祭り『文学フリマ東京』へ出店します。参加無料なので、よかったら、お立ち寄りください。

・昨年発行した同人誌『言ったことのない名言』
・無料配布のエッセイペーパー
・オリジナルグッズが当たるガラポン
・持ち込み本へのサインや記念撮影

などを出し物として用意しています。

10月に書いた記事のまとめ

↓マガジン記事。弟の歯が心配なので、歯医者につれてったという、それ以上でもそれ以下でもない話なんですが、いろいろ新鮮な気持ちでした。障害のある人のための認定医制度があるんだって。

↓マガジン記事。わたしが人生で初めて成功体験らしい何かを手に入れた、大学受験の話です。酔っぱらい先生に感謝しながら、ゆっくり書いてます。

↓マガジン記事ですが、けっこう無料で読める部分が多いです。もう運転免許のくだりの話に終止符を打ちたくて、自分で総集編を書きました。

11月の抱負

先月抱負に書いていた、エルメスの指輪を落とした話を公開したかったんですが、ちょっと多方面かつ国家権力など色んな事情が優しく絡み合っておりますので、関係各所に念のため、確認をしております。やんごとなき感じになりましたら公開するので、忘れたふりして、お待ちください。

一気に寒くなってきまして、グッピーなら死ぬ温度変化でございます。グッピーじゃないからわたしは生きてますが、それでもギリです。ちゃんと寝る、ちゃんと休む、というのを息も絶え絶えになりながらやります。いつになくボケーッとしてるかと思いますが、ご了承のほど、お願いします。

こないだ文学フリマ福岡、大阪、と出店しまして「マガジン購読してます」「岸田団入ってます」と言ってくださる人がたくさんいて、もうなんて言ったらいいか、嬉しくてたまらなくなりました。

最近やたらとしょうもないことでTwitterがバズってしまうので、一気にいろんな方面から意見のガトリング弾を浴びるんですが、どこ向いたらいいかわかんないとき、ここで応援してくださってる人を灯台のように思うんですよ。ずっと思ってましたが、あらためて。(Twitter、これからどうなるんだろうな)

ゲド戦記の原作を十何年ぶりかに読み直してるんですが、あまりに良すぎて、いろんなことを「ゲドならこう思うよね」と考えると、焦らないようになりました。本は心に消えないランタンを灯してくれるのですな。

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岸田奈美|NamiKishida
週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。