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ミルクレープと困った顔の大義名分

弟がスマホで、病室にいる母へ写真を送ったらしい。

母がわたしにも転送してくれた。

「ええ写真やなあ!?」

思わず声が出た。姉の欲目かもしれないが、ええ写真すぎてビビった。

普通、去りゆくレッサーパンダの尻は撮らない。なんとかして前から撮りたい。そういう普通じゃないところには、必ずクリエイターの意志が込められていると、先日も論じたばかりで。

遠ざかってゆくレッサーパンダを、なんとかしてレンズで追おうとする、不器用でのろまで必死な弟の姿が、なんとも言えない。

「なにここ、動物園?」

「みたいやなあ」

母からは歯切れの悪い返信があった。母も弟の予定を知らないのだ。

「グループホームの人らとお出かけしたんかな」

「祝日やし、そうかも」

「動物園も水族館も興味なかったよな」

動物にも魚にも目をくれず、早く帰りたくて不機嫌になってた弟が、今日は誰かと一緒にレッサーパンダを一生懸命撮っている姿を想像する。

実は、弟はわたしにも写真を送っていた。

わたしには、フラミンゴだった。

母にはレッサーパンダ、姉にはフラミンゴ。なぜ分けたのか。どう分けたのか。気になることだらけだが、わたしと母は、お互いの写真を交換しあった。ポケモンの赤版と緑版のような。

ひとしきり、母とはこれらの写真で、いろんな予想をした。

わたしは写真家の幡野広志さんから写真を教わって、ここ数日はよく撮れた写真を載せながら、noteで文章を書いてるけど。

本当に“良い”写真ってのは、言葉なんて、いらないんだな。

見ている人が、勝手に語り出すから。撮影者が語らなくとも。

丸1日かけてライカQの撮り方を習ったけど、スマホの使い方すらままならない弟の方が、あっさりこんな写真を撮れてしまう。わたしはいつも、本質的で根源的な“良さ”の才能では、弟に勝てない。

ええ写真やなあ。


それはさておき。

入院の買い出しで、百貨店へ行った。

百貨店は嬉しそうな顔をしたお客さんだらけで、その中に、嬉しそうに困った顔をしたお客さんがいる。

わたしはこの、嬉しそうに困った顔をしたお客さん、ってのが案外いちばん幸せなんじゃないかと睨んでいる。

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週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。