止んでる間に詰めろ詰めろ(漏水ビチョビチョ日記)
▼ これまでに書いた経緯
1日目
2日目
(3日目)12月20日 9:00- 段ボールの塔
家の近くのホテルに泊まった。
乾いた屋根があるって、いいなあ。
もうね、すれ違う観光客たちが、みんなニッコニコなわけ。京都だから。笑顔で誇らしげに道案内してた、わたしにゃそんな日もありました。
今やもう、涙目に猫背。
帰りたくねえなあ〜!
家の前で、大量の段ボールに待ち構えられていた。
うわっ。マジか……。
マジで今から、引っ越しすんのか。
引っ越しってもっと、こう、計画性とか心構えとか、あるもんだと思ってた。
あ、昨日の今日で、引っ越しって、できんのね?
「積んだあとの、運び先の新居ってどちらですか!」
ドライバーに聞かれて、
「ないんです。内見すらもまだ」
しばし無言で見つめ合う。
「オッケーでえーーーっす!」
あ、新居がなくても、引っ越しって、できんのね?
「とりあえず我が社の倉庫に入れときまーーーっす!」
もうそこに住まわせてくれ。
(3日目)12月20日 9:15- 奇跡
管理会社の人も合流した。
玄関のドア開けるとき、
「いいですか」
って合図しあう風習が、知らん間に根付いたんだけど、ここ家なのよ。魔物を封印してるわけじゃないのよ。なんなんだよ、いいですか、って。
「あれっ」
水が……止まってる……!
あんなに降り続いていたポチャ、ポチャ、が聞こえない。静寂。ずっと待っていた静寂。
「これって、直ったってことですか……!」
全員が輝いた目で、水道業者の人を見た。
「おかしいな、なんで止まってんだろう」
「えっ」
「っていうか、怖いですね。今朝はなんも対策してないから、止まるわけないのに……」
降っても止んでも、恐怖のズンドコである。
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週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。