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ラスクに刻む名言を探すため、町田へ行ってきた

ポップコーンパパのポップコーン」「遊花里の豚肉」に続き、打撃を受けている障害者福祉施設の製品を応援する、フクシ×キナリ企画の第三弾!

岸田奈美が毎度のごとく、ゴール裏を陣取る気概で全力応援していくのが、こちらの「町田チョコレートラスク」です。


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生活感のありすぎる背景でも映えてしまう、ミルク・ホワイト・ストロベリーの三色。これがいわゆるラスクの三原色で、混合することでこの世のすべての幸せの色を表せるのは有名な話だ。

ところで、このラスク。

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このように、かわいいラベルのついたパッケージで送られてくる。これは疫病除けに効果があるとされる妖怪アマビエのラベル。



岸田ラベル作りた〜〜〜〜〜い!

淡麗グリーンラベルと並ぶ、丹念キシダラベルみたいにした〜〜〜い!


というわけで、わたしがラベルに絵と名言を丹念に描いて、特別エディションとして販売させてもらうことになりました。太っ腹。


名言を探すために、町田へ行ってきた

しかし日々、わたしの頭の中にわいてくるのは、名言どころか迷言。なにを書こうかとiPhoneのメモを読み返してみたら「初手ビビンバ」「遺憾の意の関西弁は、アカンのア」「おふざけがすぎましてよ」など、どこをどうとってもラスクのラベルにできるような言葉は見当たらなかったので。

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ラスクを作っているお店のある、東京都町田市へ名言を探しにやってきたよ。

取材当時は2020年6月7日、撮影のときのみマスクを着用していませんが、可能な限り三密を避け、公共交通機関をできるだけ利用せず、消毒など細心の注意を払って行動しました。

撮影には、友人の佐伯ポインティに事情を話したところ、快諾してもらいました。

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どうですか、この甘いものBIG LOVEボーイな風貌。ハリウッド映画で、敵に追われるスパイがたまたま転がり込んだ一般家庭で、無邪気にかくまってくれる陽気なボーイ役として出演していそう。チョコレートの山を片手にテレビゲームに没頭してるタイプの。

ラスクの取材の撮影にはうってつけです。感謝しかない。

ちなみにわたしは、初代ポケモンでマサラタウンから出るために1時間を費やすレベルでの方向音痴なので、町田駅からタクシー乗り場へ向かうまでに歩道橋を上がったり下がったり、同じ場所に三回戻ってくるなどした。


だけど、歩き疲れたって大丈夫。

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町田ラスクを持ってきているので。ぬかりはない。糖分はすべてを救う。うんめっ。


町田リス園はいいぞ、看板が特にいいぞ

事前にTwitterで町田で行くべきところを募ったところ、ぶっちぎりで大量のリプライが届いたのが「町田リス園」だった。

なんだかめちゃくちゃ怖そうな、目をみはるほど黒いセルシオをアイコンにしていた人からも「町田リス園」を推されてしまった。

約200匹のタイワンリスが放し飼いにされていて、自由に触れ合ったり、餌付けができたりするという。

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なんて心強いコピーだろう。ともだちが少ないことに定評のあるわたしも、単純な計算でいくと、今日で200匹のともだちを得られることになる。全匹とFacebookでつながりたい。

ちなみにここへはタクシーで来て、車内でリス園について喋っていると「口を挟んでいいですか」という予想外の枕詞で、運転手さんが話しかけてくれた。

「リス園には大きなカメもいるんです」「そのカメのぬいぐるみがこれなんです」とものすごく楽しそうに話してくれるので、気をよくした我々は「そのカメは一匹しかいないんですか?」とたずねたところ、なんと、運転手さんがうんともすんとも言わなくなってしまった。

もう一度、たずねてみるも、車内に響き渡るのは静寂のみ。

マジでなにが起きたのかわからなかったので、あとでポインティと「ゲームで言うところの、イベント発生させてフラグ立てないと、次の発言してくれないシステムかも」と結論づけた。


町田リス園は現在、入園者の密集を避けるために、入園制限が設けられている。

実は、町田リス園にはたくさんの障害のある人が働いていて、動物たちの餌を売ったり、扉の開け閉めをしたりしてくれる。自動化が当たり前のなかで「こんにちは、いい天気ですね」など、笑いかけてくれるので、こっちもニッコニコである。

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エサというのはあげるものではなく、食べてもらうものだと知った。このキュートさの前に、人間は無力なのだ。

言うことが、なにもない。
作家が語彙力をなくすキュートさ。

園内を歩いていると、言うことしかない看板たちに出くわしてしまった。とりあえず落ち着いて、見てほしい。

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わらわらと集まってくる無垢な子どもたちに、容赦なく指を立てるリス。たぶん頬を人さし指で示していると思うのだが、アグレッシブなタッチに万が一にも中指ではないかと期待してしまう。

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これは空っぽのリス舎に貼られていたので「リスが住むための準備中」という意味に違いないのだが、どう見てもサンバの準備をしている。しかもそこそこガチめのサンバを。パンツのレースのディテールに乙女心を感じる。

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ケガをしている。かわいそう。しかし心の片隅で「しゃあないわ」と肩をすくめてしまうのは、この一枚絵からストーリーが連想できるからであろう。奥に割れたスマホが落ちている。そして爪のするどいリスに囲まれる前提のリス園へ、露出度が高すぎる服。ミトンから親指まで出ている。きっと、インスタのストーリーで「リスぴえん」とでも上げるために、できるだけ映える写真を撮ろうとして軽率に近づきすぎたのだろう。自然界の映えはときに牙を向く。

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デッカァ!!!!!!!リスに注意という立て看板の「言われんでもわかっとるわ」感がすごい。子どもの貪欲っぷりにも頭が上がらない。確実にこんな柵、一歩で越えてくるだろ。腕ごと持っていかれるわ。


園内にはこのような爆裂テイストの看板が数多く設置されていて、わたしは思わぬお宝に垂涎しながらパシャパシャ撮影していた。

しかし、周りの人たちにはそんな奇行は見受けられず、もっぱらキュートなリスを撮影している。

人生のピントというのは、人によって違うのだ。リスを愛でる人生もあれば、看板を愛でる人生もある。自信もって、ゆっくりでもいいから、人生のピントを合わせていこう。


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園内ではしゃぎまくって疲れたので、ここでも町田ラスクを食べた。口の中に広がる上品な甘さに、脳みそのしわがじんわり伸びきっていく。

このあと昼ごはんを食べたのだが、久しぶりすぎる外食で「頼み方が完全にバカ」になってしまい、ワンピースの麦わら海賊団が港に到着したときに食べるご飯の量がテーブルに届いてしまった。


スワンカフェ&ベーカリーで、よ〜いパン!

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町田ラスクを作っている、スワンカフェ&ベーカリー町田2号店に来ました!

町田には、住宅街の中にある1号店と、ショッピングセンターの中にある2号店があります。近所の学校や、Jリーグ所属のFC町田ゼルビアのスタジアムにも出張販売している、地元では大人気のパン屋さんです。

本当においしいんですよ、スワンのパン。

フランチャイズなので東京都内にはいくつかスワンベーカリーがあるんですが、わたしも数年前から通っていました。生地がめちゃくちゃ美味いので、シンプルなパンも、豪華な惣菜パンも、すべてが美味い。飲める。

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スワンでは、36名の障害のある人たちが働いています。彼は知的障害と聴覚障害のあるスタッフさんなのですが、終始ウルトラハッピーで、作業中にもかかわらずカメラを向けると、秒速でピースしてくれました。

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そして、こうなる。至福。

ここでちょっとだけ豆知識。

通常の企業などで働くことが難しい障害者を雇用し、就労の機会を提供する場所を「就労継続支援事業所」といいます。

就労継続支援事業所にはA型とB型があり、B型は雇用契約を結ぶことが難しい障害者が働き、生産物に対して工賃をもらいます。社会生活を送るための訓練という意味もあるので、工賃は最低賃金を下回ることがあります。

一方、A型は雇用契約を結んで、障害者が働きます。一般就労を目指し、しっかりと事業所自体も利益を上げていくことが求められ、障害者には最低賃金以上が支払われます。

スワンカフェ&ベーカリー町田はA型。つまり、美味しいパンとサービスを提供して、たくさんのお客さんに来てもらう経営努力をすることで、障害者にじゅうぶんな賃金を払おうと頑張っている事業所なんです。

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そこで生まれたのが、この町田ラスク。

スワンでも大人気のフランスパンを使い、後味の良い濃厚な純チョコレートをかけた商品です。パンよりも日持ちし、通販でも販売できるものをと開発されました。

余分な脂肪分を含まない純チョコレートは、テンパリングなどの技術が必要になりますが「一回失敗したら終わりではなく、チョコレートは溶かしてやり直すことができる」ので、手先を細かく動かすことが難しい障害のあるスタッフさんでも、扱いやすいのです。

何度やりなおしても、うまいもんは、うまいのだ。

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スワンカフェ&ベーカリー町田を運営する、ディーセントワールドの代表・天野さんがあたたかく迎えてくれました。

どれくらいあたたかいかって言うと、ラスクの試食とドリンクを山ほど出してくれたのだけど。

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出してくれすぎて、机の上がものごっつ狭くなってしまい、盛大に天野さんがコーヒーをこぼしたくらいあたたかい。こぼれていても関係なく、無心でラスクを食べてしまうほどの美味しさ。

天野さんの24歳になる娘さんは知的障害があり、2号店で楽しそうに働いているそうです。高校を卒業するまでの間、どこへ行くにも、誰かの付き添いが必要だった娘さん。

スワンで働くようになってはじめて、家からお店まで一人で歩いて出勤するようになったそうです。よほど一人での外出が嬉しかったのか、20分くらいで到着する道のりを、2時間かけてゆっくり歩いていった娘さん。

その様子を後ろからこっそり見守りながら、天野さんは「娘ができることが、一つ増えた」と泣いてしまったそうです。ええ話や。

天野さんの娘さんに限らず、スワンはいろんな障害のあるスタッフさんとその家族、そしてお客さんを笑顔にしているんだろうなあと思いました。


特製!町田ラスク 岸田エディションを手に入れよう

素敵な町田で、たくさんの名言を手に入れた岸田が、絵と字を描いてラベルをつくりました。

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励まされるような、そうでないようなこと間違いなし!

ラベルはともかく、ラスクはめちゃくちゃ美味しいです。ギフトにもどうぞ。その場合はちゃんと相手方に説明をお願いします、たぶん戸惑うと思うので。

↓こちらから購入して、みんなでスワンを応援しましょう!


週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。