見出し画像

今すぐ美味いポップコーンで、自宅をUSJにするんだ

祝っても、ひとり。

私の作家活動を見せびらかすWEBサイト「キナリ」がオープンした。同時に、定期購読マガジン「キナリマガジン」もスタートした。

どちらも、本当にありがたいことに、嬉しい反応ばかりだ。

愛と熱でオープン日に間に合わせてくれた、コルクのメンバーには本当に頭が上がらない。

祝いたい。

とても、祝いたい。

宴をしたい。ワンピースでやってたみたいに、みんなで巨大な樽に足を乗せ、カチ割ったところから吹き出てくるビールを飲みたい。

でも祝えない。外に出られない。
私は一人だ。


一人で、楽しいドンチャン騒ぎをしよう。


私は、関西人だ。
関西人が楽しいことは、USJしかない。
ユニバーサゥル・ストゥディオ・ジャパァンだ。

しかし、今、USJは閉鎖している。

そのとき、私は思い出した。

USJのエントランスのすぐ近くに「ポップコーンパパ」という、響きだけで脳みそに夢と希望が詰め込まれる店があったことを。

スクリーンショット 2020-04-22 15.55.47

これがそのポップコーンパパだ。なんと味が32種類もある。小学生が寝床で見る夢か。

ポップコーン。
魅惑的な響きである。

日本のネーミングは「パ行」の音が入っていると、人はテンションが上がるらしいのだが、ポップコーンには「ポ」と「プ」で二文字も入っている。なんらかの疾患を疑われるくらい、テンションが上がってしまう。

通販をしていたので、秒速で買った。

画像3

画像4

画像2

注文した翌々日に届いた。
はやっ。夢から覚めない内に、夢が届いた。


うん。


注文しすぎたよね。


一人暮らしが食べる量じゃないね、どう考えても。
自宅の一角が、USJのポップコーンワゴンみたいになった。

しかし、USJのポップコーンワゴンはすごいぞ。

カラフルな屋台に、山盛りのポップコーンが詰め込まれている。めちゃくちゃ並ぶ。列の後ろまで、甘くて良い匂いが漂ってくる。私は、おそろいのカチューシャをつけた年上の彼氏と冗談を言いあいながら、列に加わる。やっと注文の番が回ってきた時、彼氏が「ポップコーンのMサイズと……あと、そのミニオンの光るバケツもください」と言う。私はびっくりして顔を上げる。ミニオンの光るバケツはポップコーンの3倍以上の値段がする。なんでそんな高いものを。彼氏はお金を払ったあと「ずっと見てたやん。これが欲しかったんやろ」とはにかんだ。私は言葉に詰まったあと、小さく口元を綻ばせた。すごいぞ。

なにがすごいって、この話は一から十まで嘘なのである。

USJには弟としか行ったことないし、ミニオンの光るバケツは自分で買った。誰か買ってくれ。

テンションが上がりすぎて脳に幸福物質がドバドバ直撃し、幸福な記憶を作り出してしまうくらい、自宅がポップコーンワゴンになるというのは破壊力がある。

例えば。

画像6

原稿がちっとも進まなくて、パソコンの前で頭を抱えてしまっても。

画像5

このように大量のポップコーンがあれば、たちまちポップコーンのことしか考えられなくなり、幸福になる。作業がはかどる。

しかもハーフサイズの人気味が5種類も入ったこの「One Love ポップコーン」という特別なセットは、1500円につき100円が日本こども支援協会に寄付される。幸福が過ぎる。

朝、起きて「ああ今日も外に出かけられないのか」とげんなりしても。

画像7

ベッドサイドにポップコーンがあれば、般若もニタリ顔である。夫婦で喧嘩をした翌朝に置いておくのも良い。ポップコーンはかすがいという言葉が、日本には昔からある。

この青色と白色のマーブルがかわいいポップコーンは、海遊館のジンベエザメをイメージした「ジンベエポップコーン」である。USJにいながら海遊館まで満喫できるとか、強欲が過ぎる。やがて人は死ぬ。

大阪から東京にやってきて、帰省できずに寂しい思いをしているそこの大阪人。わかるよ。つらいよな。東京のうどんのつゆ、黒いもんな。あんなどす黒いつゆ飲んどるから、東京モンは腹黒いんや。

画像8

でも大丈夫だ。「大阪セット」を買えば、たちまちそこは大阪になる。2人でお腹いっぱいになるレギュラーサイズが3種類も入って、1080円だぞ。正気か。3種類もあれば、ケルベロス飼ってる人でも安心。

たこやき味、キャラメル味、うめかつお味という、なにわの人間をよくわかっている取り合わせだ。しょっぱい、あまいの、しょっぱいので、もう手が止まらんっちゅーて。やっぱ好きやねん。やっぱ好きやねん。耳の奥でやしきたかじんが呼応する。

画像9

私が最初にいただいたのは、このポップコーン界のAKB48のような見た目のミックスジュース味だ。開けた瞬間、めちゃくちゃ甘い匂いがする。架空の彼氏が生まれてしまう。

画像10

うううう美味いよォオォオォォォォォォオ(号泣)

バナナやベリーの濃厚な味が押し寄せてくるのに、サクッと口の中でなくなって、後味ぜんぜんしつこくないから、三半規管がもれなくバグる。

ポップコーンってあれじゃん、冷めるとまずいじゃん。これマジできたばっかのクオリティだからね。ポップコーンのできたてってなんて表現するの?ポップしたて?ポップしたての味と食感がする!!!!!!!

画像11

一分後の様子。ポップコーンは跡形もなく消え去った。これがシュレディンガーのポップコーンである。

でも案ずることはない。なぜなら我が家は、ポップコーンワゴンだからだ。さあもう一度並ぼう。あと10種類も味があるからな。

みんなも今すぐ自宅をポップコーンワゴンにしよう。4000円以上買えば送料は無料だし、っていうか未満でも250円〜500円である。USJに行く交通費より安い。

なんで私がポップコーンパパを推してるか

この記事は、not PR、not スポンサードだ。つまり私が完全なる趣味かつ無断で書いた。怖い。夜道で斬りかかるタイプの作家だ。

でも私は、ウイルスの猛威により、営業自粛やUSJ閉鎖で大打撃を受けているであろうポップコーンパパを、なにがなんでも応援したかった。

ポップコーンの売上で、梅田の一等地にポップコーンパパ御殿を建設してほしいとさえ思っている。ヨドバシカメラを甘い匂いで包み込め。

なんでかって言うと、このめちゃくちゃ美味くて楽しいポップコーンは、めちゃくちゃ優しくて愉快なスタッフさんたちが、作っているからだ。

ポップコーンパパでは、6人の障害のあるスタッフさんが働いている。

日本の法律では、45.5人以上を雇用している企業は、1人以上の障害者を雇用しなければならない。50人規模のポップコーンパパで、障害者が6人というのは、かなり多い。

私も数年前から何度か、ポップコーンパパに行ってみたけど。

本当に、みんな、めっちゃ楽しそうに働いてる。障害のあるスタッフさんも、そうじゃないスタッフさんも、わけへだてない。

ポップコーンまぜまぜしたり、お客さんとワイワイ話したり、車をブイブイいわせて配達に行ったりしてる。

こんなYoutubeにも出ちゃってる。

発達障害があって、計算が苦手で忘れっぽいスタッフさんは、みんなと協力して仕事を区切って、ひとつひとつこなすことで失敗を減らしている。アルバイトをしてみたら楽しくて「本当は障害があるけど、ここで社員として働きたい」と打ち明けたところ、快諾されたそうだ。

精神障害があって、うつ病を患っていたスタッフさんも、今は重要な配達ルートの配送を任され、どんどんルート任されることが増えていき、楽しくて仕方がないらしい。精神障害のある人は、ストレスが苦手だ。仕事が楽しいというのは、ストレスを減らす一番の方法かもしれない。

「どうして障害のある人を積極的に受け入れてるんですか」とポップコーンパパの番頭さんに聞いたら「特別なことは何もしてません。お互いに苦手なことを補いあうのは、障害があってもなくても、当たり前なので」と言われた。

痺れた。ここでは、障害は特別ではない。

障害者も健常者も関係なく、工夫していることをあげるなら。

3S(整理・整頓・掃除)を徹底すること。これは特に発達障害のある人が、使う器具や順番を間違えないようにするためだ。でも結局、みんなにとって気持ちのよい環境になっている。

「これができれば一人前じゃない」「これをやるべきだ」という会社の都合は押しつけず、苦手なことを強要しない。能力に凹凸があっても、得意な仕事を見つけてもらって、まずはそれに打ち込んでもらい、少しずつ得意な範囲を広げてもらう。

とのことだ。

もう建てるよ。ポップコーン御殿、私が建てちゃうよ。

みんなが助けあいながら、美味しいポップコーンを、楽しくつくっている。ポップコーンパパには、夢という夢が、詰まっている。

こんな企業が増えてほしい。こんな時代だから、こんな企業が伸びてほしい。人よりも苦手なことが多くて、悔し泣きをして生きてきた私は、心から願いながらもう一袋、ポップコーンを空にしている。

後日談 ポップコーンとコルクと私と

宴が開けないなら、ポップコーンを食べればいいじゃない。

そう思った私は、大量に届いたポップコーンをていねいに包み、キナリOPEN祝いと称して、コルクのメンバーに送りつけた。

「お祝いと言えばそうですね、ポップコーンですね」という私の一文を見て、ただならぬ恐怖を感じさせたことと思う。

さきほど、クロネコヤマトさんが来て、ポップコーンを持っていってくれた。

「あの、岸田さん……この伝票の内容物って合ってますかね?」

画像12

私は入力をどこで間違ったのか、ポップコーンが精密機械になっていた。

コルクの皆さん、すみません、今日あたり精密機械のポップコーンが届きます。

この記事が参加している募集

いま私にできること

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

記事にいただいたサポートのお金で、母や弟(岸田家)と「したことない体験」に挑戦し、新しく記事を書きます。いつも応援ありがとうございます!

スキに圧倒的感謝
1020
28歳の作家。100文字で済むことを2000文字で伝える。車いすユーザーの母、ダウン症の弟、亡くなった父の話など。講談社・小説現代 連載、文藝春秋2020年1月号巻頭随筆 執筆。コルク所属。 Official WEB→https://kishidanami.com/

この記事が入っているマガジン

#SaveOurCityOsaka
#SaveOurCityOsaka
  • 12本

自分が住む街のコロナの影響で打撃を受けた店舗のヘルプをまとめるマガジン。#SaveOurCity[あなたの街]で救済マガジン広げませんか。 HOW 1.共同マガジンを誰でも良いので立ち上げる 2.SOSを発信する店舗note記事をマガジンに追加。 3.大変だったら有志の編集メンバーを募集。 4.マガジン/該当記事をシェア!!以上

コメント (3)
ポップコーンパパパラダイスですね!
読んでるだけで幸せな気分になれましたw
食べてもないけど、もうポップコーンはごちそうさまですw
ポップコーンの豆が届いて途方に暮れるオチを期待して(*゚益゚)ゞ サーセン
コーラと一緒に食いたいっすね
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。