飽きっぽいから、愛っぽい|カニサボテンの家を売る@大阪市中央区谷町
見出し画像

飽きっぽいから、愛っぽい|カニサボテンの家を売る@大阪市中央区谷町

キナリ☆マガジン購読者限定で、「小説現代8月号」に掲載している連載エッセイ全文をnoteでも公開します。

表紙イラストは中村隆さんの書き下ろしです。

画像1

ついさきほどの家族会議で、祖母の家を売りに出すことが決まった。

祖母の家は、大阪の谷町にある。大阪駅や難波駅にほど近いが、そのわりに古い寺院が多く静かなところで、暮らすには人気の町だ。

わたしが物心ついたときから、祖母の口癖は「あんたが嫁に行くとき、この上等な土地は全部あんたのもんや。ばあちゃんが祝儀にあげたるさかい。ひゃっひゃっひゃっ」だった。

祖母は笑うときも、泣くときも、この小気味いい引き笑いをする。

子どもだったわたしは、土地の価値がよくわからなかったが「ばあちゃんは太っ腹だなあ」と、薄ぼんやり思っていた。祖母は太っ腹なわけではなく、見栄っ張りだったと気づいたのは、この二、三年のことである。

この続きをみるには

この続き: 8,503文字
この記事が含まれているマガジンを購読する
このマガジンを購読すると、月4本以上の限定記事が読めます。

岸田奈美の人生を応援してくれる親戚のような人たちが、読むことのできるマガジンです。わたしはnoteが収入源なので、このお金でゴリゴリに生き…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
岸田 奈美

手術終わって元気になって帰ってきた母と、うまいもん食って、きれいな海を見に行きます。毎月、家族で楽しく暮らすいろんなことに使わせてもらっているので、使いみちはnoteで紹介します。

ハッピー役満大吉!やりたいこと全部やろう!
小学館から本「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」発売中! キナリ★マガジンという有料定期購読noteで月4本エッセイを書くほか、いろいろと役に立たないことを披露しています。 Official WEB→https://kishidanami.com/