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まだあかんくないわ(もうあかんわ日記)

photo by 母が元気に退院したらまた写真を撮ってくれるという最高の見舞いをしてくれた幡野広志さん

スタートしてから、はや十日。もうあかんことばかり書いてきたけども、今日は、まだあかんくないなと思えてしまうくらい、ドキがムネムネした。

朝日新聞(東京版)と、東京新聞で、全段フルカラー広告が無事に載った。わたしも弟も神戸にいて、本紙を手にいれることはできなかったけど。

たくさんの人が、SNSに広告の写真をアップしてくれたので、朝から夕方までタイムラインを眺めているだけで、何枚もお目にかかれた。

なかには、ひとりで四枚買って、つなげてくださった職人もいたり。

お子さんといっしょに、写真をあげてくれたママさんやパパさんもいたり。

書店さんも、今日にあわせてポスターを掲示して、在庫を仕入れてくださったところがたくさん。amazonではカテゴリランキング1位になったよ。

今日は日曜で、しかも全国的に雨。

そんななか、新聞や本を買いにひとっ走りしてくれたり、ひと工夫して発信してくれたり、予想外のお祭りになったのが、嬉しかった。

弟に、わたしのスマホでTwitterを見せて「きみの写真が、新聞に載ってるんやで」と言うと。

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「ええ〜ッ!これ、おれやん!やった!」

と、サプライズになった。自分のことがダウン症とわかってない彼だけども、そんなことはどうでもいいのです。

目立って、褒められて、ちょっとその場を明るくすることが好きな弟が、喜んでくれたのなら。郵便で本紙が届いたら、作業所やグループホームに、自慢げに持っていってくれたなら。

弟と同じく、喜んでくれるダウン症の人やご家族がいたなら。なんなんやろうと知ってくれたら。

だけど、わたしひとりの力では、まるで届かなかった。

ボルボと広告のnoteにサポートをくれたみなさん、マガジンで生活を支えてくれたみなさん、タイムラインをお祭りにしてくださったみなさん。

広告のデザインに協力してくれた橋口さん、岩下さん、幡野さん。小学館の酒井さん、コルクの佐渡島さんと酒井さん。日本ダウン症協会の水戸川さん。本を愛する書店員のみなさん。朝日新聞、東京新聞のみなさん。

弟について、こんな記事も書いて応援してくれた、記者の後藤さん。

その他、ここに書ききれない方々のおかげで、「もうあかんわ」から「まだあかんくないな」と思えた。いや、あかんことばっかりやけど。

しかし、「こんなことやったらおもしろいんじゃない?」「こんなことしたいんだけど?」と、わたしを見込んで声をかけてくれる人がいるおかげで、ずっと持っていた固定観念が、夏の終わりのセミみたいにひっくり返っていく。

たとえば、ちょっと前までは、車なんて買わない方がいいと思っていた。駐車場代や維持費が高いし。でも、ボルボを買ってから、うちの子になったボルボが、かわいくてかわいくて仕方なく見えた。

本もそうだ。noteで、誰でも無料で読めるものを、どうしてわざわざ縦書きになおして売るんだと。装丁家の祖父江慎さんの魔法にかかり、ふたをあけてみたら、宝物みたいな本になった。

新聞も、読まない期間がずっと長かった。ネットでいつでも情報が得られる。広告だって、WEB広告と比べたら目の玉が飛び出るほど高い。だけど、今回、フルカラーで1ページというインパクトが、ガツンと全身を駆け巡った。あの手触りは、あの光景は、新聞でなければ成り立たない。

これまでわたしが「そんなの、もう今どきいらないでしょ」と見捨ててしまってきたものを、みんなが特大の価値を引き連れて、戻してくれた。

年々、わたしの人生は豊かになっていると思う。あかんと思ったとき、あかんくないでという上昇気流が届いて、わたしを運んでくれる。ありがとう、これからも、よろしくね。


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弟は、いいところばっかじゃない。

普通に「はあ!?」って思うこともあるし、なんなら、ちょっと声に出てる。そういう時は弟もわたしに「はあ!?」って返してる。

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週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。