岸田家の読むゴハン(もち米のハリネズミ)
テーブルの上に乗ってるものは吸い込むようにたいらげる、いまのわたしからは想像がつかないけど、子どものころは食が細かったようだ。
「お腹が減ってないっていうか、食べることにあんまり興味がなかったみたい」
母から言われて、まさかそれがわたしのことだとは思わなかった。そういえば、生まれてはじめて好物なるものを自覚したのは、小学校高学年くらいだった気がする。
「だから、あの手この手で、食べたくなるようなご飯を作ったんやで」
母が千手観音のごとく繰り出してきた、あの手この手のなかのひとつ、「もち米のハリネズミ」を今夜は作ってみた。
「そう言えば、なんか『今日はハリネズミやで』ってオカンが言ってたのを聞いた気が」
「せや。肉団子をハリネズミみたいにして、食べさせたんや」
「ハ、ハリネズミみたいに!?」
「もち米を肉団子の代わりにして、トゲトゲにするねん」
「ああ……なんか思い出してきた。そんなん、あったなあ」
「良いことがあった日にはもち米を食紅でピンクにして、お祝いハリネズミも登場してた」
「芸が細かい」
家事やら、弟の世話やらで、すごく大変だったはずなのに、そんな手間をかけていたことが申し訳なくなった。
いまならハリネズミどころか、身内が丸めてくれたものなら泥団子やニガ団子(feat.千と千尋の神隠し)みたいなビジュアルでも、喜んで吸い込むように食べるぞ。
もち米のハリネズミを作ろう
母から聞いた、めちゃくちゃ適当な材料がこちら。
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週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。