見出し画像

岸田家の読むゴハン(もち米のハリネズミ)

テーブルの上に乗ってるものは吸い込むようにたいらげる、いまのわたしからは想像がつかないけど、子どものころは食が細かったようだ。

「お腹が減ってないっていうか、食べることにあんまり興味がなかったみたい」

母から言われて、まさかそれがわたしのことだとは思わなかった。そういえば、生まれてはじめて好物なるものを自覚したのは、小学校高学年くらいだった気がする。

「だから、あの手この手で、食べたくなるようなご飯を作ったんやで」

母が千手観音のごとく繰り出してきた、あの手この手のなかのひとつ、「もち米のハリネズミ」を今夜は作ってみた。


「そう言えば、なんか『今日はハリネズミやで』ってオカンが言ってたのを聞いた気が」

「せや。肉団子をハリネズミみたいにして、食べさせたんや」

「ハ、ハリネズミみたいに!?」

「もち米を肉団子の代わりにして、トゲトゲにするねん」

「ああ……なんか思い出してきた。そんなん、あったなあ」

「良いことがあった日にはもち米を食紅でピンクにして、お祝いハリネズミも登場してた」

「芸が細かい」

家事やら、弟の世話やらで、すごく大変だったはずなのに、そんな手間をかけていたことが申し訳なくなった。

いまならハリネズミどころか、身内が丸めてくれたものなら泥団子やニガ団子(feat.千と千尋の神隠し)みたいなビジュアルでも、喜んで吸い込むように食べるぞ。


もち米のハリネズミを作ろう

母から聞いた、めちゃくちゃ適当な材料がこちら。

この続きをみるには

この続き: 2,886文字 / 画像14枚
この記事が含まれているマガジンを購読する
【公開から1ヶ月経つと、前月以前の過去記事も読めるようになりました】このマガジンを購読すると、月3本以上の限定記事が読めます。今のところ平均5本。

【公開から1ヶ月経つと、前月以前の過去記事も読めるようになりました】作家・岸田奈美が、「事実も小説も奇なり」をモットーに、とんちんかんな日…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

記事にいただいたサポートのお金で、母や弟(岸田家)と「したことない体験」に挑戦し、新しく記事を書きます。いつも応援ありがとうございます!

スキに圧倒的感謝
279
28歳の作家。100文字で済むことを2000文字で伝える。車いすユーザーの母、ダウン症の弟、亡くなった父の話など。講談社・小説現代 連載、文藝春秋2020年1月号巻頭随筆 執筆。コルク所属。 Official WEB→https://kishidanami.com/

こちらでもピックアップされています

岸田奈美のキナリ★マガジン
岸田奈美のキナリ★マガジン
  • ¥1,000 / 月

【公開から1ヶ月経つと、前月以前の過去記事も読めるようになりました】作家・岸田奈美が、「事実も小説も奇なり」をモットーに、とんちんかんな日常や、それなりに愉快になるお話をおすそわけします。

コメント (4)
美味しそうですね!かわいい絵と美味しそうなハリハリネズミ団子に心とお腹がほっこりしました☺️
素晴らしい飯テロですね。おなかと脊柱起立筋がくっつく勢いです(`・ω・´)ゞ
今度作ってみます!!!
相変わらず安定の愉快な文章&イラスト🎶
でも最後、奥が深いオチが!
やっぱオカンは偉大ですね〜
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。