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【突撃!岸田の文ごはん】白石小百合さんに、執筆に集中できる香りを訊いた

岸田奈美が、尊敬する人に「うまい文章の書き方」を教えてもらうため、大きなしゃもじを持って突撃する「突撃!岸田の文ごはん」!


……だったのですが!


つい先日まで続いていた外出自粛と、リモートワークの促進で、家から一歩も出ないことが増えた岸田は、深刻な悩みを抱えていたのです。


家だと、なんか集中できないんだなこれが。


自分で言うのもあれだけど、わたしはエッセイを書くのがめちゃくちゃ早い。そもそもタイピングが早いっていうのもあるけど、子どものころからわたしは過集中

その名のとおりめちゃくちゃ集中した状態で、周りの声が聴こえないくらい執筆に没頭し、パフォーマンスがうなぎのぼりになる。

でもその反動で、50分ほどの過集中が終わったらなにも手につかない抜け殻になり、疲れ果てて、食事や約束や睡眠を忘れてしまう。

代償がでかい。


ずうっと家にいると、なんかこの過集中もしづらくなっている気がする。集中のスイッチが入りきらず、だらだら続けちゃって、抜け殻になる回数が増える。


これはアカン!


ストレッチポール、マッサージガン、ヒプノシスマイクのドラマCDを聴きながらお散歩、栄養たっぷりの食事、そこそこのマットレスなど一通り試してみたけど、実はわたしのポンコツを取り揃えた五感の中でも、ひときわ敏感なのが嗅覚。


なんとなく無印のアロマディフューザーとオイルは持っているものの(あるある)、フワァ〜〜ええ匂いや〜〜〜というIQ2くらいの感想しかなかった。


ということで!


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香りのプロフェッショナル・Whitte(ウィッテ)の代表・白石小百合さんに「岸田奈美が集中して執筆できる香り選び」を教えてもらいました!

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まさかの文ごはんシリーズが文章の書き方から、文章を書く香りの選び方にまで急旋回してしまった。

でも、いいのです。


アロマオイルと香水は、使いたいシーンで選ぼう

岸田:
今日は香りのレクチャーをしてくださるということで、よろしくお願いします!香水にも詳しくなく、無印のアロマオイルくらいしか使ったことがないペーペーですが……。

白石:
楽しみにしていました!無印のアロマオイルはとても優秀ですよ。成分も香りもいいし、なによりリーズナブルですから。

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白石:
このアロマオイルを何に使っているんですか?

岸田:
よくわからないので、加湿器に入れていました。

白石:
アロマオイルは、自然の植物や樹木などから抽出した天然由来の成分なんです。香水に比べると香りが優しくて柔らかいのが特徴で、脳を刺激してリラックスする効果があると言われています。

岸田:
アロマオイルと香水は違うんですよね?

白石:
香水は、ファッションとして身体にまとうので、香りが強めで持続するように作られています。成分も天然のものから、人工の香料まで幅広く調合するんですよ。

岸田:
わたしみたいに集中力を高めたいときは、やっぱりアロマオイルの方がいいんでしょうか?

白石:
自分が嗅ぎたいタイミングと好みで使いわけるのが良いです。加湿しながら自然に使いたい、寝る前にふんわり香らせたいならアロマオイル。身体や布製品につけたい、しっかりと香りを感じたいなら香水ですね。

岸田:
なるほど!わたしは加湿器で長い時間ふわっと香っているよりも、ふとした時に腕やハンカチをかいで、「いい匂いや〜〜〜!」ってがっつり香って気分転換するのが好きかも。

白石:
そういうときは、香水をマスクにちょっとだけつけて馴染ませたり、手首につけておくと良いと思います!わたしも香水が大好きだから、自分の気分を高めてくれ、職場や会食にもさりげなく連れていける香水を作ろうと思ったんです。香水をつくるときは、岸田さんと同じで、わたしも約束を忘れて過集中になってしまいますね……。


集中を始めるときは柑橘、続けるときはボタニカル

白石:
いくつか香りを試してもらいmすね。岸田さんには、Whitteで販売している香水をすべて試せるサンプルキットを送りました。

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First Collection Samples Minibar
Vanilla Floral(バニラフローラル)
Japanese Iris(ジャパニーズアイリス)
Citrus 13(シトラス13)
Leafy Green(リーフィーグリーン)
White Tea(ホワイトティー)

Second Collection Samples Minibar
Bay & Blackpepper(ベイ&ブラックペッパー)
Green Lemon(グリーンシトラス)
Casablanca(カサブランカ)

岸田:
これが届いたとき、めちゃくちゃテンションが上がってしまった……。こんなに香水が家にあること、めったにないから。

白石:
実際にかいでみて、好きな匂いはありましたか?

岸田:
文章だと匂いが伝わらないのが、本当にもったいない。全部めちゃくちゃいい匂いなんです。ザ・香水って感じのこってりした濃い匂いは苦手だったんですけど、これはどれも透明感があって、ずっと嗅いでいたい。迷うけど、好きなのは「White Tea」と「Leafy Green」です!

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「White Tea」
香り高いホワイトティーと仄かなグリーンティーの絶妙な階調を表現した、
アジアの品格を想う香り。岸田の感想は、熱砂の国のどちゃくそに顔の作画が良くて優しい美少年が昼下がりに部屋の中で飲んで微笑むジャスミンティーの匂い。
「Leafy Green」
目を閉じれば静けさの中に草木が揺れ花々が顔を魅せる。森林浴に出かけたような和やかな時間へ。岸田の感想は、2兆円とオパールの採掘権を明け渡すので、この匂いがする黒髪マッシュ丸メガネのシュッとした青年に毎日起こされて、一緒に森に散歩しに行きたい。

白石:
よかった!Whitteでは香水のなかでも最高級ラインであるパルファムラインのみ提供しているのですが、強い香りが苦手という日本人にも、気軽に毎日まとっていただけるように調香しているんです。

岸田:
ずっと嗅いでいたくなるし、アロマオイルみたいに「これがラベンダーや!」「これがレモンや!」っていう香りじゃなくて、ストーリーや情景が無限に想像できる香り。これは二次創作がはかどってしまう。冬コミが待ち遠しい。

白石:
アロマオイルは単品香料(ひとつの成分)が多いですからね。香水は複雑な香りや、時間によって変化する香りを演出できます。

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岸田:
これをずっと嗅いでるだけでも楽しいんですが、執筆するために集中力を高めるには、どれが良いんでしょうか。

白石:
「香りを選ぶ」という観点と、「香りの習慣を作る」という観点があります。「香りを選ぶ」から説明しますね。執筆をする直前と、執筆をしている途中で、ふさわしい香りが変わるんですよ。

岸田:
そうなんですか!

白石:
執筆をする直前だと、今から集中しなくちゃいけないですよね。それだと、刺激が強い香りがいいんです。グレープフルーツやレモンなどの柑橘系、カルダモンなどの香辛料系ですね。脳を刺激するので、目が覚めて「これから書くぞ!」という気分にしてくれます。

岸田:
たしかに!柑橘系は「すっぱい」「みずみずしい」って、わりと鼻の奥に勢いよく飛び込んでくる匂いの印象があります。

白石:
Whitteの香水だとCitrus 13が一番、柑橘系が香りますね。数種類の柑橘系をフルーティかつフローラルに調香しています。

岸田:
執筆をしている途中は、どんな香りがいいんでしょうか。

白石:
リラックスしながら、集中を持続させる香りがいいです。穏やかな気持ちでいられるのは自然のボタニカル系ですね。木の香りや、花の香りなど。岸田さんが気に入ってくれたLeafy Greenがそれです。

岸田:
これはまさに森林浴!って感じの香りですもんね。森のなかをずっと歩いていけるような、すがすがしい気持ちになれます。

白石:
でも夜に集中したいときは、別の香りの方がリラックスできたりするんですよ。Bay & Blackpepperはどうでしたか?

岸田:
めっちゃ大人の色気ある男性の匂いがしました。脳裏に一瞬で浮かんだのが「Newspicksで働いてた、めちゃくちゃ仕事ができる聡明で長髪の貴族みたいなHさん」の顔でした。

白石:
わたしも知ってる方ですね。(笑)  ベイリーフの香りや、ブラックペッパー、さらにラベンダーやミュゲ、ムスクやアンバーと香りが変化しますので、ラストノートは意外と夜の静かな時間に合います。

岸田:
集中を続けるときは、シトラスみたいに刺激が強い香りはやめた方がいいんですね。

白石:
ずっと脳が刺激を受けている状態だと、疲れやすくなります。深い集中を保つためにも、最初は刺激の強い香りで、集中が持続してきたらリラックスできる香りに変えるのがおすすめです。


香りの習慣をつくって、気分をフラットに戻す

白石:
実は「香りを選ぶ」よりも、「香りの習慣を作る」方が大切だったりします。

岸田:
えっ!集中=柑橘系やボタニカル系にこだわらなくても良いってことですか?

白石:
はい。成分よりも、自分が心地よいと思える香りを優先しましょう。五感のなかでも特に個人差の激しいのが嗅覚です。人によって好みがぜんぜん違うので、理屈にとらわれる必要はありません。

岸田:
なるほど。わたしは集中に入る前はWhite Tea、集中している時はLeafy Greenが好きだなって思いました。

白石:
それで「香りの習慣を作る」ことを意識しましょう!香りっていうのは、0.2秒で脳に届き、記憶されます。同時に瞑想したり、集中したりっていう行動も記憶されるので、回数を重ねると香りをかいだだけで脳に行動のスイッチが入るようになるんです。

岸田:
香りの反射だ!

白石:
朝はグレープフルーツの匂いで起きるというのを決めて、しばらく続けてみると「グレープフルーツの匂いを嗅ぐと、身体がしゃっきり目覚める」ようになります。匂いと行動を結びつけて、自分をコントロールしていくという手段もあるんですよ。

岸田:
なるほど!じゃあ香りをコロコロ変えるより、集中したい時に嗅ぐ匂いを決めた方が良さそうですね。

白石:
体調や気分によって心地よい香りが変わるので、絶対にこれ!と決めなくても大丈夫です。だけど、香りのルーティーンを決めておくのはおすすめですよ。一流のサッカー選手の方々とお話する機会があったのですが、ユニフォームにそれぞれ決まった香水をつけている人が少なくないそうです。

岸田:
サッカー選手が、試合中にも香水をつけるんですか?

白石:
試合中にすごく焦ってしまう場面があったら、香水を嗅いでまず心をフラットに落ち着かせるんですって。ユニフォームの袖で汗を拭くときに、香りも嗅げるようにしているみたいですね。

岸田:
へえー!自分の心を平常に戻せる手段があるっていうのは、ものすごく心強いですね。わたしもそういう香りを決めたい!今日から習慣にします。

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1時間経って香りがわからないくらいがちょうどいい

岸田:
香水を身にまとってお出かけするのも楽しみになりました。こんなに種類があると、どれが良いのか迷うけど。

白石:
香水が自分にあっているか、試す手段がありますよ。

岸田:
知りたい!

白石:
まず気持ち多めに、香水を手首につけてください。ちょっとキツいかなって思っても大丈夫です。1時間くらいしたあとに手首に鼻を近づけて「あれ?わたしって今日香水つけてたっけ?」とわからなくなるくらいだったら、その香水は身体に合っています。

岸田:
自分でわからないくらいが良いんだ!

白石:
香りが自分の体臭と同じくらいのほのかさがちょうど良いんですよ。

岸田:
1時間経っても、まだ香水の匂いが自分でわかるっていうのは、馴染んでいないから強すぎる香りなんですね。

白石:
自分が「どう思われたいか」と「どうありたいか」と「どう感じるか」のバランスが取れている香りが理想的なので、いろいろ試してみてください。

岸田:
香水が集中に入るスイッチになるなんて素敵です。香水っていろんな可能性があるんですね。

白石:
そうなんです!Whitteでも香水の可能性を信じて、これからは身にまとうだけではなくて、消毒もできるスプレーや、アートとのコラボなどいろんなことに挑戦していこうと思っています。

岸田:
楽しみ!いつかわたしも、白石さんに専用の香水を調合してくれもらえるくらい、自分に合う香りを模索していきたいです。(笑)


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ちなみに、香りを試すために厚紙を使いたかったのですが手元になかったので、名刺を使ったら絶妙に怖い光景となりました。


白石小百合さんが手がけるWhitteのオンラインショップはこちらから。

めちゃくちゃいい匂いがするのに、肌を清潔に保つ「ハンドフレッシュナー」も発売されたばかりとのことで、おすすめ!ブルガリア産の最高級天然香料“ホワイトローズ & ラベンダー ”を使った、優しく、清らかな香りですぞ!


ところで岸田のお気に入り香りグッズ

以下、キナリ☆マガジン購読者だけが読める(読まなくていい)岸田の香りにまつわるお気に入り銘品です。リンクついてますが一切アフィリエイトしてないのでご安心を。

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週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。