姉のはなむけ(姉のはなむけ日記/最終話)
季節が変わった。
朝、目が冷めた瞬間、汗ばんでいないことに気づいた。あんまり暑くない。これはもしや雨じゃないか。ゾッとしたが、ベランダからは明るい光が差し込んでいた。
秋が先っちょだけやってきたのだ。ことの始まりは春だったのに、なんという信じられない早さ。
ついにこの日がやってきた。
送迎車の納車だ!
グループホームに送迎車がなくて弟が入居できない、というシンプルなお題であったはずが、なぜか看板を作り、電話口で泣き、警察を呼ばれ、脱走劇を繰り広げることになるとは。