マガジンのカバー画像

姉のはなむけ日記〜ダウン症の弟のグループホーム入居騒動〜

24
ダウン症の弟が自立のため、グループホームへ入居することになっただけのはずが、別府まで車を買いに行ったり、看板をあわてて立てたり、家族で泣いたりした日々のこと。
運営しているクリエイター

#姉のはなむけ日記

ボケ続ける世界で生きてゆく(姉のはなむけ日記/第10話)

課題がポンポコと出てくる新しいグループホームに、弟を送り出してよいものか。 どんだけ悩ん…

看板バ バン バン バン ハァ〜ビバノンノ(姉のはなむけ日記/第11話)

とうとう、近隣住民の方とわたしが直接会うことはなかったが。 「鍵や扉はなくていいが、敷地…

最低限!刺激的ビフォーアフター(姉のはなむけ日記/第12話)

弟の体験入居の日が、目前まで迫っていた。 一ヶ月間、グループホームでためしに暮らしてみて…

細川たかしはここにいたい(姉のはなむけ日記/第13話)

弟の、グループホームでの体験宿泊がはじまった。月曜日から、二泊三日。 部屋に貼ってあるカ…

ギンギラギンの26歳男児(姉のはなむけ日記/第14話)

体験入居中のグループホームへ、もう行かないと宣言する弟。いままでの苦労が水のバブルになる…

夕暮れの大脱走(姉のはなむけ日記/第15話)

三週目のグループホーム体験入居が、はじまる。 週末、いったん実家へ帰ってきた弟が、ふらつ…

こんなふうに生きられたら(姉のはなむけ日記/第16話)

一ヶ月間の、弟のグループホーム体験入居が終わった。 「良太。ほんまに、あそこで暮らせそう?」 母には「うん」と答えたらしいが、何度かたずねると、たまに「うーん」と首をひねっている。そりゃそうだ。生活が大きく変わる、人生の節目。 弟とふたりで話してほしい、と母から頼まれた。 「良太はな、奈美ちゃんといるときはめっちゃ笑うねん」 そんなアホな。 しかし、母が自撮りして送ってくるツーショットでは、弟はいつも仏頂面である。 「体験入居中、良太が夜中の二時とか三時とかに電

通報する神あれば、親切する神あり(姉のはなむけ日記/第17話)

弟がグループホームへ本入居することに決まったので、そうと決まれば、いろいろと決まりごとの…

伝説のワンメーターガール(姉のはなむけ日記/第18話)

弟がグループホームへ本入居する、前日。 今までは二泊三日、三泊四日と、少しずつグループホ…

さみしさはまぶしい(姉のはなむけ日記/19話)

母とわたしと弟と、そろって晩ごはんを食べた。 そのあと弟は、お風呂に入った。シャワーの音…

こちょこちょ(姉のはなむけ日記/第20話)

弟の電話は毎晩、続いていた。 「あのな、あのな、あのーな!」 からはじまり、興奮している…

亀の名は(姉のはなむけ日記/第21話)

グループホームに看板がついた。 なかの工芸のお父さんと妹さんが、車で運んで、スコップかな…

お金では手に入らなかったもの(姉のはなむけ日記/第22話)

しゃべりが、達者になった。 週末、実家へ帰るごとに、おどろいてしまう。弟のしゃべりが、目…

姉のはなむけ(姉のはなむけ日記/最終話)

季節が変わった。 朝、目が冷めた瞬間、汗ばんでいないことに気づいた。あんまり暑くない。これはもしや雨じゃないか。ゾッとしたが、ベランダからは明るい光が差し込んでいた。 秋が先っちょだけやってきたのだ。ことの始まりは春だったのに、なんという信じられない早さ。 ついにこの日がやってきた。 送迎車の納車だ! グループホームに送迎車がなくて弟が入居できない、というシンプルなお題であったはずが、なぜか看板を作り、電話口で泣き、警察を呼ばれ、脱走劇を繰り広げることになるとは。