【キナリ杯受賞発表】準々優勝・準優勝
準優勝1
これを戦記と言わずしてなんと言う。3つもの事件に巻き込まれながら、数えきれないほどのツッコミを入れつつ、果敢に戦っていく家永さんが本当にたくましくて、素敵です。っていうかプロポーズなんですよね。なんで戦わなあかんねん。
ちょ
そうきたかあ~~~~~~~~~~~~~~~
ドドドドドド直球ロードオブザキングかあ~~~~~~
訊いてよかった~~~~~~~~~~~~~~~
お楽しみがすぎるわ
なんで悪の帝王とごっちゃにされなきゃいけないんだよ
「それは半永久的に枯れない加工のされてる、でも本物のバラなんだって。プロポーズ用の」
プロポーズ用。
ツッコミと戸惑いのバリエーションがセンスありすぎて、笑えない話をも大笑いできる話に変えてくれています。人生に一度しかないことが、人生で一番笑えることになっている、最高。こういうのめちゃくちゃ読みたかった。
手書きのイラストも、ものすごく良い味。きっと思い出すたびに「ちくしょー!」ってなるはずの話なのに、こんなかわいいイラストまで自分で用意されて……くっ……休めっ……!って言いたくなります。この彼氏は間違いなく家永さんを振り回したとんでもねえ彼氏なんですが、そんな彼氏すらもちょっと愛しく思えてしまうのは、家永さんの作風なんですね。すごい。
準優勝2
タイトルとリード文を見て「ああ、夫婦で深い話をした日の気づきのnoteかな」って思ったら、いきなりアメリカの地図と州名が目に飛び込んでくるインパクトったらないです。しかも出オチじゃないんですよ。ちゃんとnoteで一貫して意味を持つスーパーアイテムになっているんです。良い意味で期待を裏切り続ける天才。世紀末の魔術師。
夫婦の会話を通して、普通に、役に立ちそうな知識も書かれているんですよね。
『ケンタッキー州はフライドチキンのような形をしている』」
ミズーリ州は『みず』が名前の中に入っているのに、水に接していないことに気づいたの! 『ミ』から始まる他の州は湖や海と接しているのに!
役に立ちそうなのに、この、絶妙な役に立たなさが素晴らしい。だけど役に立たなさそうな知識が、夫婦をつなぎ、理解を深めるものであるという展開がアツいです。
夫婦の会話パートと、「ではここから地図にもどりましょう」の地図解説パートの行き来が絶妙で、そういうバラエティ番組を観ているような気分になります。そして二人の異なる性格をそういうものだとスルーするのではなく、未知と既知の捉え方の違いをわざわざ分析して言葉にすることに、旦那さんへのリスペクト、二人でともに過ごす時間の尊さが伝わってきます。
準優勝3
長谷川さんの、おばあちゃんに対する思いがものすごく伝わって、決して多くを語らない文章なのに、おばあちゃんの魅力があふれています。いいなあ。
とにかく、おばあちゃんとの会話のテンポの良さが気持ちいいし、喋っている二人の距離感とか、表情とか、感情とか、そういうものが全部ギュッと詰まってる。人の記憶というのは曖昧なので、ほとんどの人は、会話を一字一句すべて覚えているなんてことはないんです。だけど、長谷川さんはおばあちゃんの魅力を思いっきり身にしみてわかっているので、まるで目の前におばあちゃんがいるような、軽やかな会話がこうやって書けたんだろうなと。それってすごく素敵なことだなと思いました。ぜんぶ推測ですけどね。
「うん、んふふ、男なんていうのはね、尽くしてやるんじゃないんだよ、尽くさせてやるんだよ」
このおばあちゃんの言葉が、最高です。すべてを持っていってくれます。
準々優勝1
この記事には、2つの「やられた〜〜〜!」があって。1つはnoteでプログラミングコードを書くために用意された「黒背景に白字」のテキストボックスで上手くクジラを演出していることと、2つはクジラの正体。
黒くてデカいであろうクジラが、気まぐれにやってきては、気まぐれに喋ってまた去っていく、という絵本みたいな世界観がこれでもかと伝わってきます。こんなnoteの使い方があったのか、とびっくりしました。
不思議な話なんですけど、クジラの正体を知ったとき、そういうことかと天を仰ぎました。っていうかこの出来事からクジラまで発想するってすごくないですか。妄想の錬金術師かな。すごく良かったです。
準々優勝2
知らん人の知らん青春に知らん影響を及ぼした知らん人の話というのは、どうしてこうもおもしろいのでしょうか。
この記事で重要なファクターになっている「もう一人の加藤諒」は、なんと、これだけ存在感のある人物なのに、一言も喋らないんです。さまざまな登場人物から語られる加藤諒と、森のカルロス大根さんが推測する加藤諒の情報がパズルのように組み合わさり、4DXのように加藤諒像が浮かび上がってくる。映画にもなった小説「桐島、部活やめるってよ」を彷彿とさせる素晴らしい構成にグウウとうなりました。
写真のくだりも、なぜこの記事を書いたのかがひしひしと伝わってくる勢いのあるエピソードで、最高です。
加藤諒に会える日を、心から願っています。
準々優勝3
疎開を経験している85歳のお父さんがYoutuberになった。もうそれだけでかわいすぎる。写真を見て、ノックアウトされた。このお父さんが……Youtuberに……?かわいい。人様の二まわりも上のお父様にかわいいって言っていいのか、わからないけど。これに関しては語彙力がない。
ノリノリのお父さんに対して、理さんが冷静なのがすごく良いです。Youtuberになろうとした経緯も、どんな発想をしたらそうなるのかと思いつつも、もう応援したくなっちゃう。
だけどこの記事には、必要不可欠な要素がもうひとつあります。フジオカさんです。このフジオカさん、たぶんおじさんだと思うんですけど、お父さんを先生って呼んでたり、褒め方がうますぎて、もう二人ともめちゃくちゃかわいい。おじさんをかわいくさせられるのも、文章という魔法。
どうしようもなく、かわいいお父さんは終盤へ向かうにつれて、時間が過ぎることを怖れず、未知へ飛び込み、不格好でも挑戦し続けることの大切さを教えてくれます。スタンディングオベーションです。お父さんのYoutubeが2兆回くらい再生されますように。
準々優勝4
彼女を探すことに必死になっていた自分の恥部をさらけ出すだけではなく、あとに続く誰かのためにと、そのノウハウを共有している胆力がすごいです。かのうおりがみさんの経験に救われた人も多いのではないだろうか。
かのうおりがみさんは、婚約にたどり着くまで、ものすごい数の失敗や恥を経験しているのですが、1ミリも格好をつけず、過去の自分を懐かしみながら書いている。その理由はひとつで、これを読んでいる人の役に立ちたいから、だと思うんです。身を切ってまでも誰かに貢献しようという姿勢、本当に推せる。
七転び八起きを地でいく記事ですが、転んでも転んでも、仮説を立て直し、挑んでいくかのうさん。もはやこれは長編ドキュメンタリーです。二人が結ばれることはわかっていても、そのきざしが見えてくると、まるで壮大なエンディング曲が聴こえてきそうになります。
準々優勝5
「お父さん、ヌードを撮ってくれませんか。」
ものすごくインパクトのある、想像がどの方向にでも膨らんでいく、すばらしい書き出しだとは思いませんか。この問いかけから、島田さんとお父さんの愛しく、おもしろい回想がゆるやかに滑り出していきます。
おちゃめなお父さんの、とぼけたエピソードはもちろん素晴らしいんですが、仕事を失くして倉庫住まいになってしまうという背景は、やっぱりちょっと胸が痛い。
想像以上の数の人が来てくれた。私も何日か手伝いにいったけど、父はたくさんの人からお祝いをされていた。父はたくさん泣いていた。
だからこそ、この文章で涙腺が崩壊するのでしょう。倉庫住まいになった経緯と、この個展の話までに、いくつかお父さんとの会話が挟まれていくのですが、エピソードの選び方と一つひとつの描き方が、本当に最高。読み終わる頃には、お父さんと、お父さんが撮る写真のことが大好きになってしまう。お父さんはこんな娘さんを持って、幸せじゃあ、最高じゃあ。
週末にグループホームから帰ってくる弟や、ばあちゃんと美味しいものを食べます。中華料理が好きです。