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【キナリ杯受賞発表】敗者復活優勝・一発逆転優勝

敗者復活優勝について

ギリギリのところであえなく受賞候補から外れてしまいそうになったのですが、やっぱり素晴らしくてわたしが諦められなかったので、このような賞をつくりました。

敗者という名前がちょっとネガティブかもしれませんが、まったくそのような意図はなく、賞名において優勝がインフレを起こしているのであとはこの名前をつけるしかなかったという切実な事情があります。

どうか、自信を持ってふんぞり返ってください。みなさんは勝者です。

敗者復活優勝1

これは褒めているつもりなのですが、この記事、べつにめっちゃびっくりすることとか、めっちゃおもしろいこととか、書かれてるわけじゃないんですよ。タイムカプセルを掘り起こすという題材で、想像どおりに話が進み、想像どおりに話が終わります。それだけです。

でも、読んじゃうよね!タイムカプセルを開ける話って、知らん人だったとしても読んじゃうよね!そんなことありません?タイムカプセルを開ける、飛行機に乗り遅れる、免許の更新期限が切れて失効する、商店街の福引に当たるなどといった話は、なんか気になって読んじゃいます。

だからこれは、題材の勝利でもあり、期待を裏切らない王道の展開を余すところなく書いてくださった電楽サロンさんの勝利です。開封の儀だけじゃなくて、学んだことも書いてあって、本当にお手本のようなタイムカプセルを開ける話でした。


敗者復活優勝2

これタイトルが「負けない」と「巻けない」のダブルミーニングになっているんですよね。卵焼きを巻けるように頑張る話です。

でも、実は挑戦1日目から卵焼きが巻けちゃうんですよ。もうストレートに企画倒れなんですよ。普通の人はそこで止めるじゃないですか。でもmauchii_さんは強行突破で続けるんです。そこでまず、ズコーッとなりました。

なぜか青い卵焼きや白い卵焼きが登場するなど、当初の目標からどんどんずれていって、なんでこの人こんなにおびただしい数の卵焼きを巻いているんだろうと不思議になってくるのですが、気がつくと応援したくなってしまいます。


敗者復活優勝3

いったい何を言うとるねんという話なんですが、無駄にわかりやすくて丁寧な図解があり、それを読んでもなお、いったい何を言うとるねんな記事です。

「野球部のよくわからん、威勢の良いだけの挨拶」って、みんなが思い浮かぶ共通の記憶ですよね。だけどそれを細かく説明しようと思う人はいなかったはずなので、きっと誰にとっても別に必要ではないであろう知識を、実体験も交えてわかりやすく解説しているのが素晴らしいです。

元野球部の人がコメント欄にきて、わかる!と言って去っていくのもめちゃくちゃ良いです。ニッチな体験談っていうのは、濃いコミュニティを呼び寄せるから、楽しいですよね。


敗者復活優勝4

おもしろい、泣ける、文章がうまいっていう審査基準より、まず強く思ったのが「こんなnoteが書ける店主さんがいるお店のスタッフさんは、本当に幸せだろうな」ということです。

スタッフさんとお店への優しい愛が、あふれている。noteを企業やお店ではじめるケースが増えてきていると思いますが、青野さんの記事をぜひお手本にしてほしいなあ。好きになってしまいますよ、ここのスタッフさんのことを。

前半はたくさん文章を書いているのに、いざお別れの当日となった後半は、ほとんど写真だけで進む構成も、ダイレクトに寂しさや愛しさが伝わってきてすごいです。特に、足袋ブーツをもらった時のスタッフさんの顔を、何枚もの写真にわけているところ。っていうかこういう写真を当日、撮ってることもすごいんだよ。これはすごい。


敗者復活優勝5

キナリ杯の応募作品のなかで、岸田奈美について書いてくださった人たちがいっぱいいて、ものすごく嬉しくありがたく読ませてもらったものの、やっぱりそれに受賞してもらうっていうのは、なんだか自分ヨイショみたいな気がして違うなと思っていたんです。

だけど、ごめん、これだけは讃えずにいられなかった。わたしについて書いていることじゃなくて、スイスイさんが多様性を受け入れるためについて書いていることが本当に素晴らしい。

『人類全員、ただの、おもしろ人間なんじゃないのか?』と。

このめっちゃくちゃに良い結論にたどり着くのに、わたしがきっかけになったと思うと、光栄で光栄で仕方がない。褒められることは嬉しいけど、それよりも、自分の存在が誰かの成長に繋がっていたことが嬉しい。

まあ聞いてくれゴールはほんとすぐそこ。

でもこの辺の、絶妙なタイミングで出てくる、友だちに語りかけられているような軽快な語り口はさすがですよね。ぐいぐい読みたくなっちゃう。


一発逆転優勝について

おもしろい文章、というキナリ杯の審査基準を越えて「いやもうなんかずるいわ、これは」という一発芸を見せつけられてしまった文章に贈る賞です。

いやもうなんか、ずるいわ。ほんまに。


一発逆転優勝1

私は、ウォータースライダーで前の人を抜き去ったことがある。

もうこの書き出しで、勢いありすぎて笑ってしまう。マジであの水がごうごうと流れるウォータースライダーの中にいる気分になり、手に汗を握ってしまいます。

私はチューブ内の 天井 を走っていた。

こんなん笑うわ。このシーンだけ、頭の中で確実にスローモーションで再現されるんですよ。すごい。勢いがめちゃくちゃ良いです。ウォータースライダーだけに。


一発逆転優勝2

ついに!補助なしでバク宙が出来るようになったのである・・・・。
俺が!!!!!

めちゃくちゃ笑ってしまった。彼女かと思いきや、あんたかよ、と。しかもこの行間の取り方がすごく秀逸なんですよ。確実に笑わせにきていて、確実に笑ってしまう。

喜怒哀楽、どれでもない顔をしていた。

この表現もめちゃくちゃ好きです。


一発逆転優勝3

「いいですか、あなたたちの過去は私には関係ありません。不公平だと思う生徒もいるかもしれません。」

先生の言葉が、最高です。これ先生に届いていてほしいなあ、先生は読んでくれているかなあ。ここまでカラエさんが鮮明に記憶を残していて、読んでいる人にも救いになる言葉を残した先生、本当にすごい。

でも先生が本当によかったのは、こうやって書いてくれたカラエさんと巡り会えたことなんじゃないかな、と思います。


一発逆転優勝4

タイトルがもう、ロックなんだよな。「おじいちゃん」でも「祖父」でもなく、ここで「じいちゃん」を持ってきて。「彼女」ではなく「あの娘」を持ってきて。このあたりの細かい言葉の選び方にセンスがあるし、登場人物の関係性もすぐにわかる。

と思ってたら、最後にプロフィール見て、SCHOOL OF LOCKやん!と度肝を抜かされました。わたしの青春を支えてくれたラジオ番組であり、先日の生放送も泣きながら観ていました。

だからこれはちょっとずるいんだけど、わたしのためのキナリ杯だから言うね。坂田さんの記事の最後に「今夜も出来るだけ大きな声で話す。出来るだけ大きな声で叫ぶ。届くように。寄り添えるように。」っていう文章があって、爆裂に泣いてしまいました。でも、坂田さんのプロフィールには関係なく、この言葉すらも、ロックである。人の心を震わせる。





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記事にいただいたサポートのお金で、母や弟(岸田家)と「したことない体験」に挑戦し、新しく記事を書きます。いつも応援ありがとうございます!

スキに圧倒的感謝
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28歳の作家。100文字で済むことを2000文字で伝える。車いすユーザーの母、ダウン症の弟、亡くなった父の話など。講談社・小説現代 連載、文藝春秋2020年1月号巻頭随筆 執筆。コルク所属。 Official WEB→https://kishidanami.com/

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