岸田の妄想!マヌケ商店(吟遊詩人のハンカチーフ)
マヌケな自分とともに歩み、ともに立ち向かう岸田による「こんなのあったらいいな」なアイテムの妄想を垂れ流す「妄想!マヌケ商店」のお時間です。
何度書いても唐突感が拭えませんが、くわしい経緯と、前回の妄想はこちらにございます。殿!
完全なる浮かれた妄想にすぎなかったのですが、「商品化したら買うわ」「マヌケの俺も仲間に入れてくれ」「こっちは金貨20枚出すぞ」「2億円が出ました!ほかに落札希望者はいませんか?」などのお声を多数いただきまして。
なんと。
元・任天堂デザイナー、NASUの前田高志さんがブランドロゴを!作って!くれたぞ!
すごくない?
なにひとつ、商品売ってないのに。ただの妄想なのに。
ブランドロゴができてしまった。450年くらい続いてそうな架空の商店が爆誕している。これだからプロは!クリエイティブは!(褒め言葉)
しかもめちゃくちゃ芸が細かい。八百万の神が細部に宿りすぎている。乗り込む神が多すぎて、船が転覆してしまう。
せっかくこんなに素敵なブランドロゴができたので、このnoteで垂れ流した妄想のうち、そこはかとなく人気があったものは商品化していこうと思います。
ロゴから始まる商店、前代未聞すぎて。あいかわらず楽しいことばっかり起きちゃうハピネスライフ。
というわけで、今日もマヌケが妄想します。
No.3 吟遊詩人のハンカチーフ
「あなたのお家は、龍神さまが守っているから」と、かつて占い師だったか、祈祷師だったか、ともかくなんだか凄みのある老婆に言われたことがある。
まあ、龍神さまだなんて。水に縁があるのかしら。
なんて思っていたけど、そう言えばわたしは、ちょっとありえない頻度で水をこぼす。
水というか、もはや液体であれば、なんでも所構わずぶちまける。
レストランのワイン、給食のABCスープ、雑巾を洗うバケツ、手に持ったスタバのフラペチーノなど、あらゆるものをぶちまける。
子どもの頃からずっとだし、なんなら、大人になってからの方がぶちまけている。
食事では3食に1度はコップを倒すので、手の届く範囲にコップを置かないように母から口すっぱく言われている。喉が乾くたびに、ヌッと腰を浮かし、机の端っこのグラスを取って飲むなどする。それでもぶちまける。
今だから言えることだけど、会社員時代は、支給されたノートパソコンを2台、自前のノートパソコンを1台すべて水没させた。
打ち合わせ中にコーヒーを飲もうとしたり、ペットボトルのフタを開けたまま席を立ったりするときに、袖口にひっかけてしまう。
当然、役員からも総務からも、めちゃくちゃ怒られた。わたしの会社員時代は、基本的に怒られまくって過ごしたようなものだったけど、見積書を一桁間違えた時より、高校生の職場見学を受け入れておきながら日付を間違えて40人まとめて待ちぼうけをくらわせた時より、ぶちまけた時がいちばん怒られた。
もうなにをやってもぶちまけるので、3枚目の始末書の「対策欄」には「業務中には今後一切、水を飲みません」と泣きながら書いた。書く方もどうかと思うが、受理した方もどうかと思う。
翌々日から忘れて、普通に水を飲み、ふたたびデスクをびしゃびしゃにした。もうアカン。
こんなクソみたいな話の引き合いに出されて、龍神さまはきっとたまったもんじゃないだろうけど、とりあえず一旦、龍神さまも聞いてほしい。
どうやったってわたしは、水をこぼす。
気をつけてはいるけども、たぶん、このマヌケは生きてる限りなおらない。逆に考えてみよう。
水は、こぼすものであると。
わたしが考えるべきなのは、こぼしてからの振る舞いなのだ。
ということで。こぼしたあとに使えるグッズを考えてみた。
これが!吟遊詩人の!ハンカチーフだ!
なにを言っているかわからないと思うので、ひとつずつ説明する。
こぼしたら、拭く。かならず発生するこのアクションに、クリエイティビティを加えたいと思う。
拭くために使う、大きくて吸水性のあるハンカチを、自ら持ち歩くのだ!
しかし、ただ拭くだけではいけない。なぜなら拭いている時こそ、羞恥心がはんぱないことになっていくからだ。
「あーあーあー」「もうなにやってんの」「すみませーん!店員さーん!」「もうほんとにあんたって子は」などの声が聞こえてくる。言われてなくとも、5.1chサラウンド立体音響で脳内に直接響いてくる。
だから、その声を、ハンカチーフでねじ伏せよう!
水をこぼしたら、まず秒でこのハンカチーフをカバンから取り出し、ファサッと広げる。
そして、平然とした顔で、相手の発言にかぶせていくように、おもむろに語りだす。
なにをって?
このハンカチーフに描かれている絵で、存在しない物語を紡ぐのさ!!!!!!!
ハンカチーフは地図のようになっている。架空の地図ってドキドキしませんか。あの村上春樹氏の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」も、架空の地図が挟み込まれていてワクワクするでしょう。
水をこぼして世界の終わりのような心地になっても、このハンカチーフに目を広げてみれば。
「わたしが以前、迷いの森(進一)で遭難したときの話なんだけどね。飢えたナウマンゾウに見つかって死ぬかと思ったんだけど、持っていたマンゴスチンをあげたら、背中に乗せてくれて毒の沼に到着したの!」
「淡水の川が行き着く先の池にはネッシーがいるんだけど、彼は子ネッシーのときに捨てられた天涯孤独の身なの。やばいカニが親代わりになって育ててくれたんだけど、彼はそのことを覚えていないのよ」
って、まくしたてられるわけですよ。
するとどうでしょう。
目の前にいる相手の印象は「大人にもなって水をこぼすマヌケなやつ」から「軽やかに空想を紡ぎ出す吟遊詩人」に変わるわけですよ。
吟遊詩人ったらもう、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーでもおなじみの職業ですから。子どもたちの憧れですよ。日本でもコンサル、パイロット、Youtubeの次に人気の職業が吟遊詩人です。
現代に生きる吟遊詩人を前にして、もう、水をこぼしたことなど忘れて、空想の世界に引き込まれてしまうわけです。
この「吟遊詩人のハンカチーフ」さえあれば、わたしは始末書を書かなくて済んだはず。ああ惜しい。でもよく考えたら、水没したパソコンはなにひとつ助かっとらんから、1ミリも解決してなかった。
でも、まあ、いいんです。勢いがあれば、たいていのことは解決できてしまうので。大切なのは瞬間最高風速です。まくしたてれば、相手は圧倒されます。圧倒していこうぜ。
というわけで、おひとつ、いかがでしょうか。