【キナリ杯受賞発表】優勝・超優勝・超無限優勝
超無限優勝(キナリ杯の王)
疾走感と悲壮感に、腹かかえてゲラゲラ笑いました。誰でも日常において一度は「ありえないくらいおもしろかった一瞬」って、あると思うんです。わたしはその一瞬の超新星爆発が見たくて、キナリ杯をはじめました。そのまばゆい輝きのすべてが、パン子さんの記事にトップスピードで込められていました。
あそこはキンキン、体は汗だく!
やかましいわ!と思わず言ってしまいそうになるけれど、それも含めて読めば読むほど、パン子さんのハチャメチャワールドに引きずり込まれてしまう。明らかにパニックに陥っているのに、手に汗握るどころか、諸手を叩きながら応援してしまう。がんばれパン子さん。毛に負けるなパン子さん。
しかし、鼓動が半端ない!!怖すぎる! Iライン!!!自分でやるってこんなに怖いのか!!
1発やるのにこんなに汗だく!!なにせ お風呂場だから バチィィィッッッが響く響く!!!
このくだりの疾走感が本当にすごい。痛いと見せかけて痛くないところとか。文章に躍動感がある。浜に打ち上げられたハマチのように、ビクンビクンと跳ねている。
パン子さんの記事を読んで、すぐレーザー脱毛器買っちゃったよ。3万円くらいしたけど、躊躇はなかったよ。ゲラゲラ笑ったあとに、人の行動まで巻き起こすなんて、どれだけのパワーがあるんだこの記事には。だけど、この記事に出会えて、本当によかった。苦しいとき、つらいとき、心がくじけそうになったとき、「とはいえパン子さんを思い出せ」と思えるような、強烈なインパクトをみんなに残してくれると思います。
おめでとうございます、キナリ杯の王はあなたです。
超優勝
数年もネットで文章を書いている人であれば、きっとそのほとんどが知っているであろう、ヨッピーさん。わたしもヨッピーさんに憧れていたキッズでした。だから申し訳ないけれど、キナリ杯は……うん……まあ……ちょっと忖度はたらかせて審査対象外で、レジェンド枠として個別にお礼を言いに行こうかな、とか甘えたサムシング的なことを考えていたんです。
無理でした。おもしろすぎた。
最初から最後まで1ミリの隙もなくヨッピー節が炸裂している、魔界の東京ディズニーランドのような記事。ちゃんと目を凝らしてみると、一年に一度出るか出ないか並のパワーワードがザックザク埋め込まれてるんですよ。
大阪のモツ焼き屋で「兄ちゃん!串なんぼんいっときましょ!」みたいにハチマキを巻いた大将相手にウーロンハイを煽っていた身からすればそれだけでもじゅうぶんにハイソでオシャレでエグゼクティブな経験だ。
あとは「東京マジで最高」「大阪人はIQが8しかない」など大阪下げ東京上げの話題だ。
ひょっとしたらこのまま「どや!ワイの股間の通天閣は!!」「いや~ん!私の大阪城も落城寸前でおま~!」みたいな展開にならないとも限らない。
こんなバケモンみたいな表現が呼吸する間もなく次々に襲ってくるアトラクション、すごくないですか。ヨッピーさんのすごいところは「下世話」「エロ」「ディス」の分野でものすごい笑いを生み出すんですけど、モラルとの絶妙なバランスが本当に素晴らしくて。ディスりはするけど、特定の誰かを傷つけはせず、誰も該当しない概念のようなものをディスり、笑わせる。ものすごい解像度とパンチラインで、唯一無二のあるあるネタをぶっ放してる。
ヨッピーさんは、おもしろくてぶっ飛んでいるだけのライターではないんです。ものすごくみんなに優しくて、ネットで書く文章のなんたるかを考えて、今も守り続けてる一人なんだなとこの記事を読んで思いました。
※超優勝の賞金は10万円ですが、ヨッピーさんから「万が一、俺が受賞したら、お金はみんなでわけて」というくっそ男前な申し出をいただきましたので、10万円の衝撃的な使いみちは受賞式の一番最後で発表します!
優勝1
夫のことが好きだ。困ってる人に貸したい。
ド直球ストレート、だけどこの白球とも言える一行がすべてを物語っています。
旦那さんの言葉は本当に尊くて、うんうんと頷きながら読んでしまうにおですが、おおがきなこさんだけではなく、これを声に出して読める言葉にしたことで、たくさんの人が、間接的に助けられているんじゃないかなと思います。
旦那さんを想う時の、ド直球ストレートな熱量が、とても眩しくて愛しい。おおがきなこさんの心の中の葛藤や悩みや喜びを全部ギュッと凝縮して、昇華したからこそ出てくる言葉。心の底から褒め称えたい。
夫がいれば、ああ、私の人生はもう100点。
必ず夫を見送って、死ぬほどの孤独は、私が持っていこうと思います。
ああ、素敵。ちょっとした未来への寂しさと、それを乗り越えようとする希望が残るラスト。すごく良いものを読ませてもらえました。
優勝2
これは、だれかと関わりながら生きていくすべての人に、読んでもらいたいお話です。夢を遮ろうとする人、理由もなく潰そう人というのは、残念ながらこの社会には当たり前に存在します。だけどそれを「やめましょう」でもなく、「放っておきましょう」でもなく、「風呂を焚いてほしい」と表現する西さんのセンスよ。この答えにたどりつくまで、西さんはどれだけ悩んで、どれだけ悲しい思いをされて、それでも夢を応援してきたんだろうか。
本当の優しさというのはなんなのか、この記事を読むとわかります。
そして、子供が雨に濡れて帰ってきたら
「お風呂焚けてるよ」
って言って、ドアをあけてほしいなと思う。
人を突き動かす言葉って、わたしは「絶妙なたとえ」が入ってると思うんです。すごい、とか、かなしい、とかって、人によっては全然感じ方が違うから。だから、誰にとってもわかりやすい、たとえ話に置き換えるとその真意が伝わりやすくなる。
風呂を炊く、というのは今世紀最大のたとえです。
以上で、キナリ杯の全受賞作品の発表が終わりました。見守ってくださった皆さん、ありがとうございました。
実はキナリ杯には、全員が参加できる後夜祭があります。