見出し画像

魂の三枚おろしで、大阪の漁師さんを救おうぜ

生の魚が、心底苦手だ。

プンと生臭いのが本当にダメダメのダメで、新鮮きわまりない寿司ならばギリギリ食べられる。生魚を触るのもムリ。調理なんて、もってのほか。

そんなわたしに、こんな依頼が飛び込んできた。

「大阪の最南端・岬町で、今回の外出自粛のあおりを受けて釣り客が激減し、釣り船を出している漁師さんたちがとても困っている。なんとか協力してもらえないか」


やるっきゃないよね〜〜〜〜〜!!!!!!


というわけで、キナリ×フクシ企画の第4弾はお取り寄せピチピチ魚介です!大阪の漁師さんたちを救うために、最後まで読んで、ぜひ皆さんも買ってみてください!

ただ、揺るぎなき正義があったとしても、マジのガチで苦手なもんは苦手なので、助っ人を呼び寄せました。


料理研究家のりな助さんこと、河瀬璃菜さん!魚介の生臭さが苦手なわたしのために、食べやすいメニューを考えてくださるとのこと。女神。

BBQ研究家の岩井慶太郎さん!魚をさわれないわたしの代わりに、魚をさばいてくれます。年がら年中、自然を愛し、BBQをすることだけを考え、100人以上のBBQもたった一人で陣頭指揮を取り、感動に導くという猛者です。書いてて思ったけど、どういうことかな。

「わたしにとっては、海の幸ではなく、海の辛(つら)なんです。助けてください」と泣きついたところ、得意なことで力になれるのならと、二人は快諾してくれました。完全なる友情ボランティア出演です。

20セット限定!魚介の購入はこちらから


台所で泣きながら、ハマチをさばいた日

運命の日、岬町の漁師さんから魚介が届いた。午後に水揚げしたものを〆て、翌日の午前には到着するので、貝はウゴウゴと動いていた。

画像25

でっけーハマチが二匹、サザエが六個、アワビが三個。竜宮城みたいなラインナップ。竜宮城、行ったことないけど。

りな助さんから「奈美ちゃん、におい嗅いでみなよ!」と言われたので、めちゃくちゃビビリながら、鼻を近づけた。

画像25

「うあああ〜〜〜〜怖いよ〜〜〜絶対生臭いよ〜〜」

画像25

「………?」


む、無臭……。

びっくりした、本当になんのにおいもしない。強いて言えば、ちょっと寿司屋のカウンターのにおいがするくらいだけど、それもめっちゃ鼻近づけないとわからない。

ちなみに、目のクマが凄まじいのは、生魚が怖すぎて、前日の晩にぜんぜん眠れなかったから。(メンタルがデリケート)

「すごく目がキレイだよね!新鮮な証拠だよ。これならぜんぜん臭くないよ」と、岩井さんが嬉しそうに言った。

画像4

言われてみれば、目がキレイな気がする。つぶら。こんなにちゃんと、魚の目を見たことがなかったので、なんか変な気分になった。

おもむろに、ハマチの腹をかっさばいてくれる岩井さん。(無修正でハマチの内蔵が元気に飛び出ておりますので、苦手な人はご注意ください)

画像5

サッ。

画像6

パカーッ。

「ギャアアアアアアアァァァ」と逃げ惑うわたしに、魚よりも澄み切った眼差しで「せっかくだからちゃんと見てみなよ」と諭す岩井さん。人間ができている。

画像7

「新鮮じゃない魚だと、デロンッて臭い内臓がこぼれ落ちてくるんだけど、これはパンパンに詰まってるよ!いいね〜」

嬉々として内蔵を見せてくる岩井さん。なんなんだ、この絵面は。

画像8

あっちゅーまに、スーパーで見慣れた切り身に変身していくハマチ。酸素の通り道であるエラも、こんなにキレイ。岩井さんはうっとりした表情で「これ、揚げると美味いんだあ」と言っていた。エラって食えるのか。


そして、ここで事件が起きる。

ハマチの解体を眺めながらシャンパンを飲み続けるという、異世界の貴族みたいなりな助さんが、とつぜん「二匹目のハマチは奈美ちゃんがさばきなよ」と言った。

イヤすぎて、首が根っこからもげそうなくらい振ったが、最終的に「あんたが持ち込んだ魚なんだから、あんたが責任持ってさばくのよ!」と岩下志麻ばりの美しさとドス声で迫られて。

画像10

画像9

画像11

「やだ……やだよおおおおぉ〜〜〜」

泣きながら、さばくことになった。めっちゃ泣いた。なんでこんなことに。りな助さんは、爆笑しながら写真を撮っていた。なんで。

画像12

ただ、内蔵を抜いたあたりから状況が急展開を見せた。

岩井さんの教え方が、とにかく上手なの。

「魚の骨はここからここまで繋がってて、これぐらいの大きさだから、ここから包丁を入れると身が外れるよ」

「刃を寝かせて、スッとすべらせる……そうそう!骨に当たって止まるから、そしたら包丁の向きを変えて」

「力が入りきってないかも、右手をこっちに置いたらどうかな」

めちゃくちゃ論理的&具体的!テンパってるわたしにも、ものすごくわかりやすいのよ、説明が。どれくらいテンパってたかと言うと、左手と右手の区別がついてなくて、なんかの技かってくらいクロスしてた。

画像13

画像25

お、おろせた〜〜〜〜〜!

向こう側が透けて見えてるのは上手におろせた証拠らしく、岩井さんが褒めちぎってくれた。褒めるのまで完璧。すごい。

魚の骨は内蔵を守るように回り込んでること、心臓からエラに酸素の足りない血を送ってるのでエラは赤いけど洗うと白くなること、ハマチはでっかくなるとブリになること(知らなくて3回くらい聞き直した)など、岩井さんはテンパって偏差値が3くらいしかないわたしに、わかりやすく教えてくれた。

魚のつくりって、海を泳いで命をつなぐために、うまいことできてるんやなあ……と感動した。

で、感動してたら、魚がまったく怖くなくなっていた。

画像15

怖い、気持ち悪い、臭いという感情が、びっくりするくらいどこかへいった。手が魚の内蔵で血まみれになったのに、それよりも、キレイな切り身にできたことが嬉しかった。


いのちがおいしくて、いとしいよ

それから。

画像26

フードコーディネーターもしているりな助さんが、きれいに盛りつけてくれて。


このような、ハマチのしゃぶしゃぶになった。

出し汁は、りな助さんがハマチの骨や頭を茹でて取ってくれた。すごいよ、魚って骨もこうやって使えるんだよ。

りな助さんが「お刺身だとこの量を食べるなら辛いかもしれないけど、しゃぶしゃぶなら余計な脂が落ちて、一瞬で食べられるよ」と言った。

画像25

もう説明のとおりで、めちゃくちゃ美味しかった。プリップリで、魚臭さが一切なくて、旨味がジュワッと広がる。ポン酢との相性が最高。

画像25

ハマチ二匹は、4人でしゃぶしゃぶにしても多いので、半分はりな助さんがカルパッチョにしてくれた。玉ねぎを下に敷いて、レモンを塩で漬けたという自家製の塩レモンが美味しかった。

画像19

これは、サザエ。

まだ生きてて、スプーンでフタを取ろうとしたら抵抗して、めっちゃびっくりした。奥へ引っ込む力が強いのよ。生き物の強さをまじまじと感じた。思えば、生きてるものを台所で見たのって初めてかもしれない。

画像20

「このフタって、海底とかでしっくりくるやつをそれぞれ見つけてくるんですかね」って岩井さんに聞いたら、「それも身体だよ!」と言われて、驚愕。

人間にも固い爪とかあるしな。生き物って強い。

画像25

画像25

これは、サザエとアワビ。さっきまで生きてたのに、不思議。

「奈美ちゃんが生臭いの苦手って言うから、アヒージョにしようと思ったけど、こんなに新鮮なら生で食べた方が絶対いい!」

りな助さんの言葉を信じて、生で食べた。プリプリして、歯ごたえがあって、美味しかった。

わたしはゲコだけど、岩井さんとりな助さんが、アワビとサザエでアホみたいにお酒を飲んでた。

魚介をじぶんでさばくって大変だけど、大変だからこそ、こんなに楽しいんだなって思った。

画像25

ベロンベロンでも、こっそりと土鍋でブリとみょうがの炊き込みご飯をつくってくれたりな助さん、本当にすごい。しゃぶしゃぶでお腹がパンパンだったのに、ぺろりといけた。ベロンベロンのりな助さんは、翌日のおにぎりまで作って、持たせてくれた。好き。

りな助さんのすべてが詰まった、家庭を助ける神レンチンのレシピは本当に素敵なので、ぜひこちらのブログを読んで知ってほしい!


食べ終わったあと、後からジーンとした感動が追ってきた。

あのでっかいハマチが、いきていたアワビとサザエが、いま、わたしのお腹を満たしてくれている。広大な海で生きるために、育った骨、エラ、背びれに守られている身体を、わたしが一生懸命に外して、楽しかった。

ありがたいな、と思った。

あのハマチの立派さを手触りで知っているから、届けてくれた人たちを知っているから、もう生臭いなんて言わないし、残したりもしない。


わたしは28歳にしてはじめて、命をいただくことの尊さを思い知った。


ごちそうさまでした。


ハマチとアワビとサザエはどこからきたのか

今回、魚介セットを送ってくれたのは、大阪府泉南郡岬町にあるNPO法人Re-Liveさん。(写真は副理事長の北野喬士さん)

スクリーンショット 2020-07-15 14.52.09

岬町は大阪府内で唯一自然海浜があって、自然が豊かな土地で農業や漁業が営まれている。でも、高齢化が深刻で、空き家や管理されない休耕地に悩む町でもある。

そんな町の課題を、ビジネスで解決しているのがRe-Liveさん。

精神障害のある人を雇用しているのも、町で働く選択肢を増やすため。


「今回の外出自粛のあおりを受けて、釣り客が激減し、釣り船を出している漁師さんたちが困っていて。なんとかしたくて、魚介の全国輸送を始めました」

そう言って、北野さんたちが知恵をあわせてはじめたのが、漁師さんが大阪湾で獲ってきた魚介を、障害のある人が輸送やパッキングを手伝い、全国へと届けること。

午後いちばんで獲れた魚を、翌日午前中に届けられるようにしているなど(北海道や離島など、場所によっては確認が必要)とにかく、一致団結して、新鮮さにこだわっているのが特徴。

そこで!
今回は特別に、キナリ特別セットを作ってもらいました!

アワビとサザエはかならず入ってるけど、魚はその日の漁の状況でいちばんいい種類のものを入れてくれるそうな。

これはもう、ぜひ、みんなで買って、岬町の漁師さんと障害のある人たち助けてほしい。

個人的には、お子さんがいる家庭はぜひ、お子さんと魚をさばく体験をしてほしいよ。岩井さんに聞いたら、はじめてでも、Youtubeで予習しながらならさばけるって。

魚のさばき方を学ぶYoutubeは「きまぐれクック」と「さばけるチャンネル」がオススメとのこと!


Re-Liveさんでは魚介のほかにも、リモコン農園といって、「植え付け」や「水やり」などを遠隔で指定することによって、貸し農園で自分の野菜を育てて送ってもらうめっちゃおもしろい取り組みも。

画像26

障害のある人が、遠隔で飛んできたオーダーにそって、野菜を育て、毎日写真を送って、出荷してくれるそうだ。なにそれ、めっちゃ素敵。


さあ。
もう夏もはじまっている。

今年の自由研究は、でっかくて新鮮な魚をさばいて、岬町を愛で救おう!




この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

記事にいただいたサポートのお金で、母や弟(岸田家)と「したことない体験」に挑戦し、新しく記事を書きます。いつも応援ありがとうございます!

スキに圧倒的感謝
553
28歳の作家。100文字で済むことを2000文字で伝える。車いすユーザーの母、ダウン症の弟、亡くなった父の話など。講談社・小説現代 連載、文藝春秋2020年1月号巻頭随筆 執筆。コルク所属。 Official WEB→https://kishidanami.com/

こちらでもピックアップされています

バズり記事
バズり記事
  • 799本

全ユーザの200スキ以上ついた記事を毎週月曜日に追加

コメント (4)
めっちゃ新鮮なお魚ですね!ちょっと寿司屋に行きたくなりました。しかし、アワビなどが入ってその値段は安いですね(金沢民)
サザエのふた、そんなふうにに考えれる奈美さんに超人力を見た〜〜🥰
三枚におろした時の、泣いてるような笑顔が、とてもステキです。たいへんよくできました💮
Re-liveさんの柔軟な発想。
そしてお二人がベロンベロンになるまで飲んじゃったというのが最高でした。
幸せが溢れてました(^_^)
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。