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キナリなおすそ分け (5月4日から)

今週も元気に、岸田奈美の私的な日記です。

つっても、いつも私的なことしか書いとらんわけやけども。いつか公的なことを書きたいね。

今週はめーちゃくちゃたくさんの人に読んでもらった記事が、なんと2本も。えらいこっちゃです。48時間経った今もTwitterの通知が完全にオーバーキルでバグッて、もはや誰ともやり取りできない虚無のツールとなりました。みんな、私のこと、忘れないで。

それでは、張り切ってどうぞ。

5月4日(月) だいたい怒っている、わたし

このツイートが、爆発的にバズった。私の弟&よき写真自慢はいつものことなので、こんなことになるとは思わず、おったまげた。

途方もなく多くの人に読まれるっていうのは、もちろん嬉しい一方、受け取り方もそれだけ広くなるということで。

5,000リツイートを越えたくらいから「ダウン症の人は誰でも天使」「障害のある家族を愛して立派」っていうコメントがすごくたくさんついた。主語が大きくなると、それで傷つく人が、私も含めて何人かいるかもしれないなと思ったから、付け加える感じでnoteを書いた

10,000リツイートを越えたくらいから、たぶん、読みたくもない人の目に入っちゃうようになったんだろうな。「ガイジ(障害児の蔑称)」「障害者を生かすのは税金の無駄」とか、書き写すのも嫌になるコメントがちらほらついた。

嫌な気分にはなるけど、それ以上、気に留めないことにしている。なぜわざわざ私に通知が届くように書いたのかも、考えない。純粋な嫌悪からだったり、極端なことを言って注目されたいだけだったりするから、反応するだけ無駄だと知ってる。あと、そういう人にかまう暇あるなら、優しいことを言ってくれる人たちの方と、触れ合いたいからね。

だけど、世の中には、心の底で障害者を人として認めず、心ない言葉を当人に平気で吐く人が、ごくわずかにいる。これは事実。どれだけこの国で道徳教育が行き届いても、正義感が強くなっても、数人はいる。

あの恐ろしい相模原障害者施設殺傷事件は、そういう人が起こした。

大切な家族が、いつか殺されるかもしれない。そんなの絶対に止めないといけない。でも、そういう人にいくら「命の大切さと人権」を説いても無駄なのだ。いや、どうだろう、わかんないけど。でも心の狭い私は、弟の命を否定する言葉を、私に投げかけてきて笑っている人が、話せばわかるとは到底思えない。

私はとても怒っている。っていうか、だいたい怒っている。私がガーッと文章を書いて、注目されている時はほとんど、怒っているか、喜んでいるか、どっちかの極端な時だ。

怒ったから、差別についてのnoteを書いた。パインバーグとか、ちょっと笑ってもらえそうなことも入れた。なんでかっていうと、そうした方が、多くの人に読んでもらえるからだ。すると、私の怒りや悲しみに、耳を傾ける人が増えていく。いつか一緒に怒ってくれる人が、その中から出てくるかもしれない。これが私の怒り方だ。

怒りをあらわにして、ストレートパンチを繰り出す人もいるだろう。小さな声を大きなうねりに変えて、拡声器のように叫ぶ人もいるだろう。だけど私は、それが得意じゃなかった。怒ったら、怒った分だけ、私が押し負けて傷つくことばかりだった。そんな私が、唯一、腹の底から怒れる方法が、おもしろい文章だった。笑われてるんじゃない。笑わせてるんだ。主導権は私だ、このやろう。

私はきっとこれからも、手放しで喜んでいくし、笑わせながら怒っていく。

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スキに圧倒的感謝
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28歳の作家。100文字で済むことを2000文字で伝える。車いすユーザーの母、ダウン症の弟、亡くなった父の話など。講談社・小説現代 連載、文藝春秋2020年1月号巻頭随筆 執筆。コルク所属。 Official WEB→https://kishidanami.com/

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コメント (1)
岸田さん、こんにちは。
”私はきっとこれからも、手放しで喜んでいくし、笑わせながら怒っていく。”
この一文を読んで、ウーマンラッシュアワーの村本さんのことを思い出しました。
https://note.com/muramoto/n/nf9b71c182b43

今月もおすそ分け、楽しみにしております。
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