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岸田奈美のキナリ★マガジン

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2022年11月の記事一覧

病院で骨抜きのサバを出されては怒り狂う人よ

キレ散らしてる人の声を“聞く”のは嫌いだが、“読む”のは嫌いじゃない。 なぜか惹かれてし…

ミルクレープと困った顔の大義名分

弟がスマホで、病室にいる母へ写真を送ったらしい。 母がわたしにも転送してくれた。 「ええ…

病袋と極楽の香り

聞くところによると、早くも福袋の予約が始まったという。正月の風物詩。スタバや無印良品の福…

病院送り・ダ・カーポ

母が総胆管結石で深夜に緊急入院した。なんやかんやあって、手術室に入ったのはお昼だった。 …

背負わない新聞の季節

「しんどひい」 月曜日、母から電話があった。 2週間前からお腹の痛みをうったえ、先週、病…

ナミー・ポッターと胆汁の石

「なんかちょっと……ここの具合が悪いねん」 お腹をさすさすしながら、夕飯の席で母が言った…

トリック・オア・精力剤

つい2時間前のこと。 終電で実家に帰ったら、母がベッドで海老になっていた。背中を丸め、耳をすませば「ウウゥ」と、うめき声も聞こえる。哀しい海老である。 「胃が……胃が痛いよォ……」 昨年、我が家を壊滅させたウイルス性胃炎を思い出し、わたしは飛び退いた。シュバッ。 「ちゃうちゃう。昔から、季節の変わり目に毎年なるやつやねん……」 竹馬の友ならぬ、竹馬の胃痛。母の経験では、胃腸薬を飲んで半日も寝ていれば、ケロッと治るそうな。 けど、運の悪いことに、薬は切れていた。